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収益物件を探すときのポイント|表面利回り8%が5%になる理由と、買う前の6項目

最終更新:2026年8月9日|監修:おうち(宅地建物取引士)

表面利回りは、物件の性能を表す数字ではありません。
購入諸費用も、空室も、運営経費も入っていない——つまり3つの前提をすべてゼロに置いた表示です。同じ物件でも、それらを順に織り込むと8.00%が5.15%になります。
そのうえで見ておきたいのが、融資と出口に効く項目。利回りは買った後に動かせますが、接道や検査済証は買った後には動かせません。

まず、利回りの前提をそろえる

3,000万円の物件で、満室想定の年間家賃が240万円(月20万円)だとします。物件価格と同額を借り入れて買う前提で、順に前提を足していきます。

段階利回り計算
表面利回り8.00%240万円 ÷ 3,000万円
購入諸費用を分母に入れる7.16%240万円 ÷(3,000万円+諸費用353.6万円
空室率10%を見込む6.44%実収入216万円 ÷ 3,353.6万円
運営経費を実収入の15%とする5.47%183.6万円 ÷ 3,353.6万円
運営経費を実収入の20%とする5.15%172.8万円 ÷ 3,353.6万円
運営経費を実収入の25%とする4.83%162.0万円 ÷ 3,353.6万円

空室率と経費率は物件ごとに置き直してください。上の10%・15〜25%は、幅を見るために置いた例です。運営経費に入るのは、管理委託費、共用部の水道光熱費、日常の修繕、原状回復、固定資産税・都市計画税、火災保険料、入居者募集の広告料など。区分マンションなら管理費と修繕積立金も毎月出ていきます。売主や仲介が出す資料の利回りが、どこまでを引いた数字なのかを最初に確認してください。

ちなみに現金で買えば融資関係の費用が消えるので、諸費用は236.6万円まで下がり、諸費用込みの利回りは7.42%になります。同じ物件でも、買い方で分母が変わります。

返済は経費に入りません。上の表はローン返済を引く前の数字です。実際の手残りは、ここからさらに元利の返済と税金が引かれます。返済比率を見るには、年間の返済額が実収入のどれくらいを占めるかを別に計算してください。利回りが高くても、金利と返済期間しだいで手残りはマイナスになり得ます。

買う前に確認する6項目

順番は「あとから直せない順」です。上の3つは、価格交渉やリフォームでは解決できません。

① 接道(建築基準法43条)

建築物の敷地は、建築基準法上の道路(原則として幅員4m以上)に2m以上接している必要があります。これを満たさない敷地は、原則として建て替えができません。

再建築不可の物件は、金融機関の担保評価が低くなるため融資が付きにくく、売るときも現金で買える相手に限られます。利回りが高く見えるのは、その流動性の低さが価格に反映されているからです。43条2項の認定・許可で建築できる場合もありますが、特定行政庁の判断によるので、買う前に役所で確認してください。

② 建ぺい率・容積率の超過

現行の制限を超えている建物には、既存不適格(建築当時は適法で、その後の法改正で基準に合わなくなった)と違反建築(当時から違法)があります。どちらも融資では不利に扱われますが、意味はまったく違います。増築で容積率を超えているようなケースは後者に当たり得ます。建ぺい率・容積率の調べ方で、指定値と実際の建物を突き合わせてください。

③ 検査済証の有無

完了検査を受けた証明です。無い建物は、増改築の際の手続きや融資で支障が出ることがあります。建築確認は受けていても完了検査を受けていない建物は珍しくないので、「確認済証がある」と「検査済証がある」は別として確認してください。

④ 権利関係

⑤ 建物の残存耐用年数

ここは融資期間と減価償却の両方に直結します。金融機関は法定耐用年数の残りを融資期間の目安にすることが多く、残りが短い建物は期間が取れず、毎月の返済額が大きくなります。中古の耐用年数(簡便法)で、自分が使える償却期間と、次に売るときの買主が組める期間の両方を見ておいてください。

⑥ 区分なら管理組合

区分マンションでは、建物の状態より管理の状態が効いてきます。修繕積立金の総額、滞納の有無と額、大規模修繕の実施履歴と次回の予定、管理形態。この4つは売主ではなく管理会社に書面で照会して取ります。返答に日数がかかるので、早めに出しておくと全体が縮みます。

レントロールは「現況」であって「相場」ではない

満室のレントロールを見ると収入が確定しているように見えますが、そこに書かれているのは今の契約の家賃です。相場より高い理由がある場合、退去のたびに収入が下がっていきます。

サブリースは「家賃保証」とは限りません

サブリース契約も建物の賃貸借契約なので、借地借家法32条の賃料減額請求の対象になります。最高裁は平成15年10月21日の判決で、サブリース契約にも同条の適用があることを認めました。同条は強行法規と解されており、「家賃を減額しない」という特約があっても、それだけで減額請求を封じることはできません

また、賃貸住宅管理業法により、サブリース業者は契約の前に重要事項の説明を行う義務を負います。説明を受ける場で確認したいのは、家賃の見直し時期と条件・免責期間・中途解約の可否とその条件の3点です。

住所を入れるだけで、区域と災害リスクを1枚に

用途地域・建ぺい率/容積率・防火指定と、洪水/高潮/津波・土砂災害の各区域を、位置図つきでまとめます。区域の境界に近い場合は「要確認」の注記が自動で付きます。

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出口から逆算する

買うときに考えておきたいのは、次に買う人が同じ条件で融資を引けるかです。保有10年で売るなら、そのとき建物は10年古くなっていて、残存耐用年数はさらに短くなっています。

高い利回りは、たいてい何かの引き換えです。立地、築年数、再建築の可否、管理の手間。その引き換えが何なのかを、価格の理由として説明できるところまで調べる。それが結局いちばん確実な確認方法だと思います。

よくある質問

表面利回りと実質利回りは、どれくらい違いますか?

前提の置き方によりますが、3,000万円の物件で年間家賃240万円という条件なら、表面利回りは8.00%です。ここに投資用の購入諸費用353.6万円を分母として加えると7.16%、空室率10%を見込むと6.44%、さらに運営経費を実収入の20%とすると5.15%になります。表面利回りは購入諸費用・空室・運営経費という3つの前提をすべてゼロに置いた数字なので、実際の手残りとは3ポイント近く開くことがあります。物件の良し悪しではなく、何を計算に入れていないかの違いです。

再建築不可の物件は、なぜ避けるべきと言われるのですか?

融資が付きにくく、売るときの買主も同じ制約を受けるためです。建築基準法43条は、建築物の敷地が建築基準法上の道路(原則として幅員4メートル以上)に2メートル以上接していることを求めています。これを満たさない敷地では原則として建て替えができません。金融機関は担保評価を低く見るため融資が通りにくく、現金で買える買主に売却先が限られます。利回りが高く見えるのは、この流動性の低さが価格に反映されているからです。43条2項の認定や許可で建築できる場合もありますが、特定行政庁の判断によるため、購入前に役所で確認する必要があります。

レントロールの家賃をそのまま信じてよいですか?

現況の家賃であって、相場とは限りません。売却前に親族や関係者を入居させている、フリーレントや広告料で実質的な家賃を下げている、サブリースの契約家賃が相場より高い、といった事情で上振れしていることがあります。確認したいのは、各室の契約日と契約期間、更新の有無、敷金の預り額、募集中の部屋の募集条件です。同じ建物の空室が、レントロールの家賃より安い条件で募集されていれば、退去のたびに収入が下がっていく可能性があります。近隣の募集事例と突き合わせて、退去後に同じ家賃で埋まるかどうかで見てください。

サブリース契約がついている物件は、家賃が保証されていますか?

保証されているとは限りません。サブリース契約も建物の賃貸借契約なので、借地借家法32条の賃料減額請求の対象になります。最高裁は平成15年10月21日の判決で、サブリース契約にも同条の適用があることを認めています。同条は強行法規と解されており、「家賃を減額しない」という特約があっても、それだけで減額請求を封じることはできません。また賃貸住宅管理業法により、サブリース業者は契約前に重要事項の説明を行う義務を負います。契約書で確認したいのは、家賃の見直し時期と条件、免責期間、中途解約の可否とその条件です。

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監修:おうち
宅地建物取引士。物件調査・購入諸費用・売却収支の試算を専門領域とし、Sonaure を開発・監修。運営者情報を見る

※ 本記事は2026年8月時点の法令に基づく一般的な解説であり、特定の物件・投資手法を推奨するものではありません。記載の利回りは、物件価格3,000万円・満室想定の年間家賃240万円・購入諸費用は当サイトの試算(土地建物50:50、融資事務手数料3.3%、火災保険30万円を仮定)という条件で計算した例です。空室率10%および運営経費15〜25%は幅を示すために置いた仮定であり、実際の数値は物件・立地・管理方法によって大きく異なります。融資の可否・条件は金融機関の判断によります。接道や建築の可否、既存不適格か違反建築かの判断は、特定行政庁および建築士の判断によります。個別の投資判断や税務の取り扱いは、税理士・建築士等の専門家にご確認ください。
参考:建築基準法第42条・第43条(道路の定義・接道義務、第2項の認定および許可)/借地借家法第32条(借賃増減請求権)/最高裁判所第三小法廷 平成15年10月21日判決(サブリース契約への借地借家法32条の適用)/賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(特定賃貸借契約の締結前の重要事項説明)/宅地建物取引業法第35条