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投資用物件の諸費用は物件価格の何%?居住用より高くなる3つの理由

最終更新:2026年8月9日|監修:おうち(宅地建物取引士)

同じ3,000万円の中古物件でも、投資用の諸費用は約354万円、居住用は約249万円。差は約105万円です。
物件価格に対する比率にすると11.8%と8.3%。利回りを計算するときに諸費用を居住用の感覚で置くと、初年度の実績が想定から外れます。
理由ははっきりしていて、住宅の税の軽減特例が、そのほとんどで「自己の居住の用に供すること」を要件にしているためです。どこがどれだけ違うのかを、項目ごとに分けます。

価格別の目安

中古を仲介で購入し、物件価格と同額を借り入れた場合の概算です。土地と建物の割合は50:50、融資事務手数料は借入額の3.3%、火災保険は5年一括30万円という前提を置いています。

物件価格居住用投資用投資用の比率
1,000万円約111.6万円約153.1万円+41.5万円価格の15.3%
2,000万円約180.6万円約253.6万円+73.0万円価格の12.7%
3,000万円約249.1万円約353.6万円+104.5万円価格の11.8%
5,000万円約386.1万円約553.6万円+167.5万円価格の11.1%
8,000万円約593.6万円約855.6万円+262.0万円価格の10.7%

価格が小さいほど比率は上がります。司法書士報酬や火災保険のように価格に比例しない費用があるためで、1,000万円の区分マンションでは15%を超えます。現金で購入する場合は融資関係が消えるので、投資用でもおおむね7〜11%に下がります。

3,000万円・全額借入の内訳

項目居住用投資用
仲介手数料105.6万円105.6万円
売買契約書の印紙税1.0万円1.0万円
登録免許税(所有権移転)31.5万円36.8万円+5.3
司法書士報酬(移転登記)10.0万円10.0万円
不動産取得税控除で0円のことが多い47.2万円+47.2
融資事務手数料66.0万円99.0万円+33.0
抵当権設定費用8.0万円17.0万円+9.0
ローン契約の印紙税1.0万円1.0万円
火災保険料(5年一括)20.0万円30.0万円+10.0
固定資産税・都市計画税の清算金6.0万円6.0万円
合計約249.1万円約353.6万円+104.5

差がついているのは5項目だけです。仲介手数料も印紙税も司法書士報酬も、用途では変わりません。以下、変わる部分を順に見ます。

理由① 税の軽減が「自己の居住」を要件にしている

登録免許税:建物だけ本則に戻る

所有権移転登記の登録免許税は、土地と建物で扱いが分かれます。

登記の種類本則軽減軽減の期限賃貸用で使えるか
所有権移転(土地・売買)2.0%1.5%2029年3月31日使える(用途を問わない)
所有権移転(建物・売買)2.0%0.3%2027年3月31日使えない(自己居住が要件)
抵当権設定0.4%0.1%2027年3月31日使えない(自己居住用の住宅取得資金が要件)

建物の0.3%は「住宅用家屋の軽減」と呼ばれるもので、適用を受けるには市区町村が発行する住宅用家屋証明書を登記申請書に添付します。この証明書は、個人が自分の住まいとして取得した家屋にしか出ません。賃貸に回す物件では取得できないので、建物分は本則の2.0%です。

土地は用途を問わず1.5%が使えます。ここが下がらないぶん、差は思ったほど大きくなりません。上の内訳で登録免許税の差が5.3万円にとどまっているのは、土地の軽減が両方に効いているからです。土地と建物の割合が建物寄りの物件(築浅の区分マンションなど)ほど、差は広がります。

不動産取得税:中古の賃貸用は控除が使えない

不動産取得税は都道府県税です。税率と課税標準には、用途を問わない特例があります。

問題はそのあとの控除です。中古住宅を取得したときの築年数に応じた控除は、取得した人が自分で住むこと(またはセカンドハウスとして使うこと)が要件になっています。賃貸用に取得する中古物件では、この控除が使えません。居住用なら控除で0円になることも多い税額が、投資用ではそのまま残ります。

新築の貸家住宅は事情が違います。新築住宅の1,200万円控除は、自己居住用か賃貸用かを問いません。共同住宅なら一戸あたりの床面積が40㎡以上240㎡以下であれば、戸数分の控除が受けられます。新築アパート一棟なら、控除だけで課税標準が大きく削れることになります。控除が使えないのは「中古を賃貸用に取得する場合」と覚えておくと整理しやすくなります。

理由② 不動産投資ローンは事務手数料の料率が高い

融資事務手数料は、借入額に一定率をかける「定率型」が主流です。住宅ローンは2.2%あたりが目安ですが、不動産投資ローンはこれより高い料率が設定されることが多く、この記事では3.3%で置いています。3,000万円の借入なら66万円と99万円で、33万円の差です。

あわせて、抵当権設定登記の登録免許税も先ほどの表のとおり0.1%から0.4%へ戻ります。3,000万円なら3万円が12万円になり、司法書士報酬を含めて8万円が17万円になります。

金利は諸費用ではありませんが、影響はこちらのほうが大きくなります。不動産投資ローンは住宅ローンより金利が高い傾向があり、その差は返済総額として毎月効いてきます。事務手数料の33万円より、金利差1%のほうが最終的な負担は重くなります。諸費用の比較だけで判断しないでください。

理由③ 火災保険は賃貸経営のほうが上がりやすい

建物の構造・所在地・補償内容で大きく変わる前提ですが、賃貸経営では施設賠償責任のように、貸主として負う責任に備える補償を付けることがあります。入居者に対する家主賠償や、家賃収入の補償を付ければさらに上がります。この記事では5年一括で20万円と30万円として置いています。

物件価格を入れるだけで、投資用の諸費用を概算

「居住用/投資用」を切り替えると、登録免許税・不動産取得税・抵当権設定・融資事務手数料・火災保険が投資用の前提で計算し直されます。登録不要・その場で計算できます。

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決済時に払う額と、あとから来る額を分ける

資金計画でいちばん事故りやすいのがここです。不動産取得税は決済当日に払いません。取得から数か月後に都道府県から納税通知書が届いてから納めます。

物件価格決済時に必要(概算)数か月後の不動産取得税
1,000万円約137.3万円約15.8万円
2,000万円約222.1万円約31.5万円
3,000万円約306.4万円約47.2万円
5,000万円約474.8万円約78.8万円

決済で手元の現金を使い切る計画にしていると、数か月後に通知が届いてから資金を探すことになります。取得税の分だけは、最初から別枠で置いておくのが安全です。

土地と建物の割合で税額は動く

この記事の数字は土地50%・建物50%を仮定しています。建物の割合が大きいほど、登録免許税も不動産取得税も重くなります(建物は登録免許税が本則2.0%、不動産取得税も課税標準が2分の1になりません)。

土地の割合諸費用の合計(3,000万円・全額借入)
30%(建物寄り)約362.0万円
50%約353.6万円
70%(土地寄り)約345.2万円

実際の割合は売買契約書の記載や固定資産税評価額の内訳で決まります。建物価格は減価償却にも直結するので、投資判断ではここを早めに押さえておく価値があります。

諸費用に入らない、賃貸経営の初期費用

上の表は「物件を取得するまで」の費用です。運営を始めるまでには、別に次のような支出があります。

よくある質問

投資用物件の諸費用は、物件価格の何%くらいですか?

中古を仲介で買い、価格と同額を借り入れる前提だと、物件価格のおおむね11%から13%が目安になります。3,000万円なら約354万円、5,000万円なら約554万円という計算です。現金で買う場合は融資関係の費用が消えるため、おおむね7%から11%に下がります。同じ条件の居住用はそれぞれ8.3%、7.7%なので、投資用のほうが3ポイント前後高くなります。価格が小さいほど比率は上がり、1,000万円の区分マンションを全額借入で買うと約153万円、価格の15%を超えます。

なぜ投資用のほうが諸費用が高くなるのですか?

住宅にかかる税の軽減特例が、そのほとんどで「自己の居住の用に供すること」を要件にしているためです。建物の所有権移転登記の登録免許税は、自己居住用なら0.3%まで下がりますが、賃貸用は本則の2.0%です。抵当権設定登記も、自己居住用の住宅取得資金なら0.1%のところ、賃貸用の借入れは本則0.4%になります。不動産取得税も、中古住宅の築年数に応じた控除は自己居住が要件のため、賃貸用では控除が使えません。加えて不動産投資ローンは事務手数料の料率が高く、火災保険も賃貸経営のほうが補償を広げるぶん上がりやすくなります。

投資用でも使える軽減措置はありますか?

あります。土地の所有権移転登記の登録免許税は、本則2.0%に対して1.5%の軽減が2029年3月31日まで適用され、これは用途を問いません。不動産取得税も、税率を本則4%から3%とする特例と、宅地の課税標準を評価額の2分の1とする特例が2027年3月31日まで適用され、いずれも自己居住かどうかを問いません。さらに新築の貸家住宅は、一戸あたりの床面積が40㎡以上240㎡以下であれば、不動産取得税の課税標準から一戸につき1,200万円を控除できます。控除が使えないのは中古を賃貸用に取得する場合です。

不動産取得税は決済のときに払うのですか?

いいえ。不動産取得税は都道府県税で、取得から数か月後に納税通知書が届いてから納めます。決済当日に用意する現金には含まれません。3,000万円の物件なら約47万円が数か月後に出ていく計算になるので、決済で手元の現金を使い切る資金計画を立てていると、通知が届いてから慌てることになります。決済時に必要な額と、後から来る額を分けて見積もっておくことをおすすめします。

不動産会社にお勤めの方へ

Sonaureの購入諸費用計算は「居住用/投資家向け」を切り替えられます。土地の割合・融資事務手数料の料率・火災保険料はお客様の条件に合わせて調整でき、そのまま渡せるPDF/Excelで出力できます。売却収支のほうも、3,000万円特別控除の可否と減価償却の反映を用途で切り替えます。

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監修:おうち
宅地建物取引士。物件調査・購入諸費用・売却収支の試算を専門領域とし、Sonaure を開発・監修。運営者情報を見る

※ 本記事は2026年8月時点の税制に基づく一般的な解説です。記載の金額は、中古住宅を仲介で取得し、固定資産税評価額を売買価格の70%、土地と建物の割合を50:50、融資事務手数料を借入額の3.3%、火災保険を5年一括30万円と仮定した概算であり、実額は物件・評価額・金融機関・保険商品により変動します。軽減措置・特例にはそれぞれ床面積などの適用要件と期限があり、期限は延長・改正されることがあります。不動産取得税は都道府県税のため、取り扱いは都道府県により異なる場合があります。個別の税額と適用可否の判断は、税理士・司法書士および物件所在地の都道府県税事務所にご確認ください。
参考:国税庁「登録免許税の税額表」/租税特別措置法(住宅用家屋の所有権の移転登記等に係る税率の軽減、住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減)/地方税法および同附則(不動産取得税の税率の特例、宅地評価土地の取得に係る課税標準の特例、住宅の取得に係る課税標準の特例)/国土交通省「住宅:不動産取得税に係る特例措置」「住宅:住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置」/宅地建物取引業法(仲介手数料の上限)