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購入諸費用の概算の出し方|「価格の◯%」で出すと外れる理由

最終更新:2026年7月30日|監修:おうち(宅地建物取引士)

諸費用は「価格の何%」では決まりません。決めているのは借入額です。
同じ3,000万円の物件でも、現金購入なら約174万円(5.8%)、フルローンなら約249万円(8.3%)。差は約75万円、率にして2.5ポイント動きます。
「6〜10%が目安」という言い方が幅を持つのは、この融資関係費用が入るか入らないかが最大の要因だからです。率は当たりをつけるためのもので、お客様に渡す概算は金額で積み上げます。

まず結論:同じ価格でも諸費用はこれだけ動く

物件価格3,000万円で、借入額だけを変えた比較です。

費目現金購入フルローン
(借入3,000万円)
仲介手数料105.6万円105.6万円
売買契約書の印紙税1.0万円1.0万円
登録免許税(所有権移転)31.5万円31.5万円
司法書士報酬(移転登記)10.0万円10.0万円
融資事務手数料66.0万円
抵当権設定費用8.0万円
ローン契約の印紙税1.0万円
火災保険料(5年一括)20.0万円20.0万円
固定資産税等の清算金6.0万円6.0万円
合計約174万円
(5.8%)
約249万円
(8.3%)

差の約75万円のうち、66万円が融資事務手数料です。ここを確定させないまま概算を渡すと、あとから数十万円単位で修正することになります。

概算を外さない手順:3層に分けて積み上げる

費目を「何が決まれば金額が決まるか」で3つに分けると、どの順番で確定させればいいかが見えます。

第1層:物件価格が決まれば自動的に決まる

費目決まり方
仲介手数料(価格×3%+6万円)×消費税10%(400万円超の速算式)
売買契約書の印紙税契約金額の区分で決まる。1,000万円超5,000万円以下なら軽減後1万円
固定資産税・都市計画税の清算金引渡日による日割り。概算では価格の0.2%程度

ここは価格が決まった時点で確定します。物件を紹介した段階で出せる部分です。

第2層:借入額が決まらないと出せない

費目決まり方
融資事務手数料定率型なら借入額×2.2%程度。定額型なら3万〜6万円程度+保証料
抵当権設定費用借入額×0.1%(軽減適用時)+司法書士報酬5万円程度
ローン契約の印紙税借入額の区分で決まる。電子契約なら不要のことが多い
金額が大きいのはこちらです。第1層だけで概算を出して「だいたい6%くらいですね」と伝えてしまうと、フルローンの方には2ポイント以上足りません。借入額を先に聞く——これが概算を外さない一番の勘所です。

第3層:物件・条件で大きく振れる

費目振れる理由
火災保険料建物の構造(木造・鉄骨・RC)、所在地の災害リスク、水災補償の有無、契約年数で数倍変わる
登録免許税(所有権移転)固定資産税評価額で決まる。土地1.5%・住宅用家屋0.3%と税率も別
司法書士報酬事務所ごとに自由設定。登記の件数や調査の手間でも変わる

ここは「幅を持たせて伝える」しかない部分です。概算書に金額を1つだけ書くのではなく、何を前提に置いたかを併記しておくと、後から実額が出たときの説明が楽になります。火災保険は特に、同じ物件でも見積り次第で倍近く違うことがあります。

物件価格と借入額を入れるだけで内訳を確認

上の3層をまとめて計算した概算を、その場で表示します(登録不要・無料)。

無料の購入諸費用シミュレーションを使う →

このツールの前提を書いておきます。融資事務手数料は定率型(借入額×2.2%)を前提としており、定額型+保証料の商品を選ぶ場合は内訳が変わります。登録免許税は評価額を価格の70%と仮定し、所有権移転を一律1.5%で概算するため、建物に0.3%の軽減が効くケースでは多めに出ます。火災保険は5年一括20万円の固定値です。いずれもお客様に提示する概算としては安全側(多め)に振ってありますが、正確な金額は金融機関と司法書士の見積りで確定させてください。

見落としやすい2つのポイント

1. 800万円以下の物件は仲介手数料の考え方が変わる

2024年(令和6年)7月1日施行の報酬告示改正により、売買代金800万円以下の宅地・建物(低廉な空家等)については、媒介報酬の上限が30万円+消費税=33万円となる特例が設けられました。空き家である必要はなく、居住中の物件でも該当します。

速算式で計算すると、500万円の物件なら約23万円。しかし特例では最大33万円まで受領できるため、速算式のまま概算すると10万円ほど不足することがあります。低額物件ほど諸費用の「率」が跳ね上がるのはこのためです。

この特例は、あらかじめ依頼者への説明と合意が必要です。媒介契約の締結に際して報酬額を説明し、合意を得ておく必要があります。買主側の概算を作る場面でも、自社がこの特例を適用する方針かどうかを確認したうえで金額を入れてください。上限額であって、当然に請求できる額ではありません。

2. 不動産取得税は決済時の諸費用に入らない

不動産取得税は取得から数か月後に納税通知書が届くため、決済時に用意する諸費用には含まれません。住宅の軽減措置により0円になることも多い一方、要件を満たさない場合はまとまった金額になります。

「諸費用は250万円です」と伝えたあとに納税通知書が届くと、聞いていないという話になりがちです。概算書には含めないが、後日かかる可能性があるものとして口頭で必ず触れる——このひと言があるかどうかで、引渡し後の信頼が変わります。リフォーム・引越し・家具家電も同じ扱いです。

お客様に渡す前のチェック

よくある質問

購入諸費用は物件価格の何パーセントで概算していいですか?

率だけで出すと外れます。同じ3,000万円の物件でも、現金購入なら約5.8%、フルローンなら約8.3%と2.5ポイント違うためです。差の大半は融資事務手数料で、借入3,000万円に対して定率型なら約66万円かかります。率は当たりをつける目安に留め、借入額が決まった段階で金額を積み上げてください。

諸費用の概算で最初に確定させるべき数字は何ですか?

借入額です。仲介手数料や印紙税は価格が決まれば決まりますが、融資事務手数料・抵当権設定費用・ローン契約の印紙税は借入額が決まらないと出せません。しかも金額が大きいのはこちらです。価格だけで概算を渡すと、あとから数十万円単位で修正することになります。

融資事務手数料はどのくらいかかりますか?

定率型では借入額の2.2%程度が一般的で、3,000万円の借入なら約66万円です。定額型では3万〜6万円程度で済みますが、代わりに保証料が別途かかる商品が多く、総額では大きく変わらないこともあります。どちらの型かで内訳が変わります。

決済時の諸費用に含まれない費用はありますか?

不動産取得税は取得から数か月後に納税通知書が届くため、決済時の諸費用には含まれません。住宅の軽減措置で0円になることも多い一方、要件を満たさない場合はまとまった金額になります。リフォーム・引越し・家具家電も含まれないのが一般的です。

不動産会社にお勤めの方へ

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監修:おうち
宅地建物取引士。物件調査・購入諸費用・売却収支の試算を専門領域とし、Sonaure を開発・監修。運営者情報を見る

※ 本記事は2026年7月時点の法令・税制および一般的な取引慣行に基づく解説です。記載の金額は中古住宅の仲介取引を想定した概算であり、実額は物件・契約条件・金融機関・自治体により変動します。媒介報酬の額は宅地建物取引業法に基づく告示の上限であり、実際の請求額は媒介契約の内容によります。税額および登記に関する正式な判断は、税理士・司法書士・所轄の税務署へご確認ください。
参考:宅地建物取引業法/「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(令和6年6月21日改正・同年7月1日施行)/国税庁 タックスアンサー No.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」(令和9年3月31日まで)/登録免許税法・租税特別措置法