ホーム › 不動産に関する有益情報 › 物件調査の効率化
どこで何を調べるかの一覧は物件調査チェックリストにあります。ここでは同じ項目を、誰が終わらせるかで並べ替えます。段取りを考えるときはこちらの切り口のほうが使えます。
| 区分 | 代表的な項目 | 終わらせるのは | 着手から完了まで |
|---|---|---|---|
| A 自分だけで終わる | 区域区分、用途地域、建ぺい率・容積率、防火/準防火の指定、洪水・高潮・津波の浸水想定区域、土砂災害警戒区域、周辺施設と位置図 | 自分(オンライン) | その場 |
| B 動けば終わる | 道路の種別と幅員、位置指定道路の指定図、上下水道の埋設状況と引込み、地区計画・高度地区などの上乗せ規制、埋蔵文化財包蔵地、建築確認・開発許可の履歴 | 自分+窓口 | 半日〜1日 (開庁時間に縛られる) |
| C 返事を待つ | 管理会社への書面照会(管理費・修繕積立金・滞納・計画修繕・規約)、売主の設備表と告知書、ライフライン事業者の図面、隣地所有者の承諾 | 相手 | 相手の都合 (数日〜) |
Cだけは、こちらがどれだけ急いでも短くできません。短くできないものを最後に回すか最初に回すかで、案件全体の日数が変わります。
下は、Aに2時間・Bに半日かかり、Cの返答に5営業日かかった案件を並べたものです。作業量はどちらも同じです。
| 営業日 | 調べやすい順に着手した場合 | 待ちを先に出した場合 |
|---|---|---|
| 1日目 | A(オンライン調査) | 登記を取得 → Cの照会を発送/A(オンライン調査) |
| 2日目 | B(役所・事業者まわり) | B(役所・事業者まわり) |
| 3日目 | Cの照会を発送 | ─(Cの返答待ち) |
| 4〜7日目 | Cの返答待ち | ─(6日目にCの返答が到着) |
| 8日目 | Cの返答が到着・完了 | すでに完了 |
差は2営業日ですが、作業を1分も速くしていません。依頼を出す日を2日前倒ししただけです。Cの返答が10営業日かかる相手なら、差もそのまま2日残ります。逆にいえば、Aをどれだけ自動化しても、Cを最後に回している限り全体は縮みません。
聞き漏らして追加照会を出すと、待ちがもう1往復増えます。往復の回数が日数に直結するので、1通目の網羅性がそのまま効率になります。区分所有建物なら、重要事項説明の項目に対応させて次を並べておくと漏れません。
売主に対しても同じで、設備表と告知書は最初にまとめて依頼します。中古の売買では、ここが遅れると契約日が動きます。項目の根拠と書面での位置づけは重要事項説明の調査項目とやり方にまとめています。
Aの項目は、実は「調べる」時間よりサイトを開き直して住所を打ち直す時間と結果を資料に転記する時間のほうが長くなりがちです。
コツは単純で、住所から緯度経度を一度だけ確定させ、その座標で全部引くことです。区域系も周辺施設も位置図も、内部的には同じ座標から引けます。項目ごとに住所を入力し直しているなら、そこが削れます。
| 情報源 | そこから取れるもの |
|---|---|
| 国土交通省「不動産情報ライブラリ」 | 区域区分、用途地域(建ぺい率・容積率を含む)、防火/準防火の指定、洪水・高潮・津波の浸水想定区域、土砂災害警戒区域、小中学校区、学校・医療機関・駅などの位置 |
| 国土地理院 | 住所から緯度経度の特定、位置図に使う地図 |
| 市区町村の都市計画図・ハザードマップ | 地区計画・高度地区などの上乗せ規制、区域の境界の確認 |
区域区分・用途地域・建ぺい率/容積率・防火指定と、洪水/高潮/津波・土砂災害の各区域を、位置図つきで1枚にまとめます。区域の境界に近い場合は「要確認」の注記が自動で付きます。
投資判断調査項目を見る →調べる → メモする → 清書する、の3工程のうち、いちばん長いのは清書です。しかも清書は転記ミスが入る唯一の工程でもあります。ここを消すのが、資料作成の時短としては一番効きます。
徒歩分数は特に注意が要ります。地図上の直線距離から出した「徒歩◯分」は、実際より短く出ます。不動産の表示に関する公正競争規約では道路距離80mを1分として換算し、端数は切り上げと定められています。下調べで当たりをつけるのは構いませんが、お客様に渡す書面や口頭の案内では、道路距離で測り直した数字を使ってください。くわしくは周辺環境の調べ方に書いています。
ここまでの話は、あくまで下調べを短くするためのものです。短くしてはいけない工程があります。
自動作成した資料は重要事項説明書ではありません。35条書面は宅地建物取引士が記名し、契約成立前に説明するものです。作った資料は、その手前の下調べと社内共有、お客様への参考資料という位置づけになります。
登記の取得と、返事待ちになる照会を出すことの2つです。順番としては先に登記を取ります。所有者・地番・地目・地積が確定しないと、役所で何を聞けばよいか、管理会社に何を照会すればよいかが定まらないためです。地番が分かったら、その日のうちに管理会社への書面照会と売主への設備表・告知書の依頼を出します。ここは相手の都合で日数が動く部分なので、着手が1日遅れると完了も1日遅れます。自分だけで完結するオンラインの調査は、いつ着手しても数分で終わるため後回しで構いません。
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、区域区分・用途地域・防火/準防火の指定、洪水や津波などの浸水想定区域、土砂災害警戒区域といった区域系の情報が地図上で確認できます。位置の特定と地図には国土地理院の地図が使えます。周辺施設はOpenStreetMapなどの地図データからも拾えます。ただし自動で分かるのは「その区域に入っているか」までで、境界の近くにある場合や、地区計画・高度地区のような自治体ごとの上乗せ規制は、市区町村のマップと窓口で確認が必要です。
重要事項説明の区分所有建物の項目に対応させて書くと漏れません。管理費と修繕積立金の月額、前所有者の滞納の有無と額、修繕積立金の積立総額、計画修繕の実施済みの内容と今後の予定、管理の委託先の名称と住所、管理形態、専有部分の用途その他の利用制限に関する規約の定め、共用部分に関する規約の定め、維持修繕の実施状況の記録の有無です。1項目聞き漏らして追加で照会すると、また相手の返答を待つことになり、往復のぶんだけ完了が遅れます。
使えません。重要事項説明書は宅地建物取引業法35条に基づき、宅地建物取引士が記名し、契約成立前に説明するものです。自動作成した資料は下調べと社内共有、お客様への参考資料としての位置づけになります。区域に入っているかどうかの自動判定も、境界付近では取りこぼしが起こり得ます。説明義務の対象になる事項は、最終的に自治体の窓口や管理会社への照会で裏を取ってから書面に落としてください。
Sonaureは、住所を入れるだけで区域・災害リスク・周辺環境をまとめ、そのまま渡せるPDF/Excelで出力します。購入諸費用・売却収支・賃貸初期費用の概算書も同じ画面から。清書の工程がなくなるので、下調べから資料までが一続きになります。
Sonaureの調査機能を見る →「今の家賃でいくらの家が買えるのか」「うちは今いくらで売れるのか」を知りたいだけでも構いません。宅地建物取引士がお話をうかがいます。
お問い合わせフォームへ →※ 本記事は2026年8月時点の法令・規約に基づく一般的な解説です。記事中の営業日数は段取りの違いを説明するための例であり、実際の所要日数は物件の種別・管理形態・相手方の対応によって異なります。調査すべき項目の範囲と、説明義務の有無・程度の判断は、取引を担当する宅地建物取引士および所属先の判断によります。本記事は調査の網羅性を保証するものではありません。個別の判断は所属先・司法書士・行政書士等の専門家にご確認ください。
参考:宅地建物取引業法第35条(重要事項の説明。区分所有建物に関する事項を含む)・同法施行規則第16条の2/同法第47条第1項/不動産の表示に関する公正競争規約施行規則(徒歩所要時間の表示基準)/国土交通省「不動産情報ライブラリ」/国土地理院