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重要事項説明の調査項目とやり方|35条書面の順に「どこで何を調べるか」

最終更新:2026年8月1日|監修:おうち(宅地建物取引士)

重説の調査で漏れるのは、たいてい「書面に欄はあるが、誰も調べていない項目」です。
調査を場所(法務局・役所・現地)から組み立てると、行った先で拾える情報は取れますが、どこにも行かない項目が空欄のまま残ります
この記事は35条書面の記載事項の順に、各項目をどこで何を調べるかを対応させた索引です。書面の欄を上から埋めていけば、調べ先が決まります。

35条書面は大きく2つに分かれる

宅地建物取引業法35条1項の記載事項は、性質の違う2種類が並んでいます。ここを分けて考えると、調査の段取りが立てやすくなります。

区分内容情報の出どころ
物件そのもの登記された権利、法令上の制限、私道負担、インフラ、区分所有建物の管理関係など外部の調査が必要(法務局・役所・事業者・管理会社)
お金・契約条件代金以外に授受される金銭、契約解除、違約金、手付金等の保全措置、ローンのあっせん、契約不適合責任の措置など自社と当事者で決める内容(外部調査ではない)

時間がかかるのは前者です。以下は前者を中心に、調べ先を対応させた一覧です。

項目別・どこで何を調べるか

書面の項目調べる内容調べ先
登記された権利所有者・地番・地目・地積、抵当権や賃借権などの登記の有無と内容。登記名義人と売主が一致するか法務局(登記事項証明書・公図・地積測量図)
法令に基づく制限区域区分、用途地域、建ぺい率・容積率、防火/準防火、高度地区、地区計画、道路の種別・幅員ほか市区町村(都市計画課・建築指導課・道路管理課)
私道に関する負担敷地の一部が私道か、持分の有無、通行・掘削の承諾、負担金公図・登記、現地、道路管理課、売主への聞き取り
飲用水・電気・ガス
排水施設
各引込みの有無と口径、公営/私営の別、未整備なら整備の見通しと負担金の額水道局・ガス会社・電力会社・下水道課
未完成物件の
形状・構造
工事完了時の形状・構造、宅地なら接する道路の構造・幅員設計図書・完了予定図
区分所有建物の
追加事項
敷地の権利、専有部分の用途その他の利用制限の規約、共用部分の規約、管理費・修繕積立金の額と滞納、管理の委託先、計画修繕の積立総額など管理規約・総会議事録、管理会社への書面照会
登記の取得から始めるのが確実です。所有者・地番・地目・面積が確定しないと、役所調査で何を聞けばよいかが定まりません。公図もあわせて取得しておくと、私道・接道・越境の当たりが同時につきます。

見落としやすいのは「災害・建物」の追加項目

35条1項の本文とは別に、宅地建物取引業法施行規則で説明事項が追加されています。書面の様式では下のほうにまとまっていることが多く、埋め忘れが起きやすい部分です。

項目調べる内容調べ先
造成宅地防災区域区域内か否か都道府県(盛土規制法の所管課)
土砂災害警戒区域区域内か否か(特別警戒区域かも)都道府県のハザード情報
津波災害警戒区域区域内か否か都道府県のハザード情報
水害ハザードマップ
における所在地
市町村が作成したマップ上で、対象物件がどこに位置するか。区域外でも位置を示して説明する市区町村のハザードマップ
石綿の使用調査調査記録の有無。あればその内容(実施機関・範囲・方法・年月日・使用の有無と箇所)売主・管理会社への照会
耐震診断診断を受けているか。受けていればその内容売主・管理会社への照会

実務で効く区別:「調べる項目」と「あれば説明する項目」

ここを取り違えると、必要のない調査に時間を使うか、逆に確認漏れを起こします。

タイプ該当する項目実務での動き
調査して
説明する
登記、法令上の制限、私道負担、インフラ、災害区域の指定の有無、水害ハザードマップ上の所在地該当・非該当を自分で確認する。「調べていない」は許されない
記録があれば
説明する
石綿の使用調査の記録、耐震診断の結果調査・診断を実施する義務はない。記録の有無を照会し、無ければ「無し」として扱う
「実施義務はない」=「確認しなくてよい」ではありません。石綿も耐震診断も、記録が存在するかどうかの照会は必要です。売主や管理会社に確認せずに「無し」と書くと、あとから記録が出てきたときに説明義務違反を問われかねません。照会した事実と回答を記録に残しておいてください。
耐震診断には対象の線引きがあります。昭和56年6月1日以降に新築工事に着手した建物は対象外とされています。まず着工時期を確認し、旧耐震にあたる建物についてのみ診断の有無を照会する、という順序になります。

賃貸の場合に加わるもの

貸借では、売買の項目に加えて台所・浴室・便所などの設備の整備状況契約期間と更新に関する事項定期借家か否か敷金その他の金銭の精算に関する事項管理の委託先などが説明事項になります。一方、売買特有の項目(手付金等の保全措置、割賦販売に係る事項など)は不要です。

使用する書式が売買用か貸借用かで欄そのものが違うため、取引の種別に合った様式を選ぶところから確認してください。

調査の段取り(順序が効きます)

各調査先で何を見るかを場所ごとに整理したものは、物件調査チェックリストの記事にまとめています。本記事の項目一覧と併せて使うと、書面の欄から引く索引調査先から引く地図の両方がそろいます。

法令上の制限と災害区域を、住所から一括取得

区域区分・用途地域・建ぺい率/容積率・防火指定・災害リスク4種を調査書にまとめます。境界またがりの可能性は「要確認」を自動表示。

重説必要項目調査書を見る →

ツールがカバーする範囲を正直に書いておきます。Sonaureの重説必要項目調査書が自動取得するのは、法令上の制限のうち都市計画・建築基準に関する部分(区域区分・用途地域・建ぺい率/容積率・防火指定)と、災害区域4種(洪水・高潮・津波・土砂災害)です。
登記・私道負担・インフラ・区分所有の管理関係・石綿・耐震診断・契約条件は含まれません。これらは法務局や関係先への照会が必要で、住所だけでは判定できないためです。上の一覧でいえば、時間のかかる役所調査の一部を短縮するものとお考えください。造成宅地防災区域も対象外です。

よくある質問

重要事項説明の調査は何から始めればいいですか?

登記事項証明書と公図の取得からが確実です。所有者・地番・地目・面積・抵当権などが確定し、そのあとの役所調査で必要になる情報がそろいます。登記の内容が現況と食い違う場合も、この時点で洗い出せます。

石綿(アスベスト)の調査は必ず行う必要がありますか?

調査自体の義務はありません。調査結果の記録が存在する場合に、その内容を説明する定めです。記録の有無を売主や管理会社に照会し、無ければ「無し」として扱います。建築年を問わず、記録の有無の確認は必要です。

耐震診断の説明はすべての建物で必要ですか?

必要ありません。昭和56年6月1日以降に新築工事に着手した建物は対象外です。旧耐震基準の建物について診断を受けている場合にその内容を説明する定めで、診断の実施義務まではありません。着工時期の確認が最初の判断材料です。

水害ハザードマップの説明はいつから義務になりましたか?

2020年(令和2年)8月28日からです。市町村が作成した水害ハザードマップ上で対象物件がどこに位置するかを説明します。洪水・雨水出水(内水)・高潮のうち、その市町村が作成しているものが対象で、区域外でも位置を示して説明します。

不動産会社にお勤めの方へ

Sonaureなら、住所を入れるだけで区域区分・用途地域・建ぺい率/容積率・防火指定・災害リスクを調査書(PDF/Excel)にまとめられます。重説の下調べのうち、毎回同じ手順で調べている部分を数分に短縮できます。

Sonaureの重説必要項目調査を見る →
監修:おうち
宅地建物取引士。物件調査・購入諸費用・売却収支の試算を専門領域とし、Sonaure を開発・監修。運営者情報を見る

※ 本記事は2026年8月時点の法令に基づく一般的な解説です。重要事項説明の対象項目・様式は法改正や自治体の運用により変わることがあり、取引の種別(売買・交換・貸借)や物件の種類によっても異なります。実際の調査範囲・説明内容の判断は、取引を担当する宅地建物取引士および所属先の判断によります。本記事は個別の取引における調査の網羅性を保証するものではありません。
参考:宅地建物取引業法第35条/宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3ほか/国土交通省「重要事項説明(売買・交換)」様式/国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の一部改正(水害リスク情報の重要事項説明への追加)に関するQ&A」(令和2年)/国土交通省「津波災害警戒区域等についての宅地建物取引業法に基づく重要事項説明について」/宅地造成及び特定盛土等規制法