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不動産の周辺環境の調べ方|調査項目・情報源と、徒歩分数のルール

最終更新:2026年8月1日|監修:おうち(宅地建物取引士)

周辺環境は、重要事項説明書に欄がないのに、説明を誤ると業法の問題になる領域です。
生活利便施設の有無や距離は宅地建物取引業法35条の法定説明事項ではありません。一方で同法47条は「環境」「交通等の利便」を名指ししています
つまり「調べなくてよい」のではなく、調べたうえで、事実として伝えるのが正しい扱いです。この記事では、何を・どこで調べるか、そして調べた数字をどう書けるかを整理します。

まず位置づけ:35条には無いが、47条には書いてある

物件調査の項目を法令から組み立てると、周辺環境は抜け落ちます。重要事項説明書(35条書面)の記載事項は限定的に列挙されていて、そこに「近隣の生活利便施設」という欄は存在しないからです。

ところが宅地建物取引業法47条1項1号は、禁止される行為の対象として次の事項を挙げています。

宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなる、所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金・借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件などについて、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為は禁止されています。

「環境」と「交通等の利便」が正面から書かれています。書式に欄がないことと、説明しなくてよいことは別だと考えてください。

実務上の落としどころは「評価せずに、事実を残す」です。周辺環境は、良い・悪いの感じ方が人によって大きく違います。「静かで良い環境です」と言い切ると主観の押し付けになり、逆に不都合な事実を伏せれば47条の問題になります。施設名・方角・距離という事実を書面に並べ、判断は相手方に委ねる——この形が、説明責任を果たしつつ言い過ぎないための現実的な線です。

何を調べるか(6分類)

顧客から実際に聞かれる順に並べると、おおむね次の6分類に収まります。物件の種別や想定する入居者によって重み付けは変わりますが、調べる項目自体は毎回同じにしておくと、聞かれてから慌てずに済みます。

分類具体的な項目よく聞かれる相手
交通最寄り駅(路線・駅名・距離)、バス停、駐車場・コインパーキングほぼ全員
教育・保育保育園・幼稚園、小学校、中学校、高校、大学。あわせて通学区域(指定校)子育て世帯
医療総合病院、診療所・クリニック、小児科、夜間・休日の受け入れ先子育て世帯・高齢者
買い物・生活スーパー、コンビニ、ドラッグストア・薬局、郵便局、銀行、公園、飲食店、大型商業施設ほぼ全員
嫌悪施設墓地、火葬場、斎場、下水処理場、廃棄物処理施設、風俗営業に関わる施設など言われる前に把握しておく
騒音・振動線路、高速道路、幹線道路、工場、学校のグラウンド、消防署言われる前に把握しておく

下2つは、聞かれてから調べるのでは遅い項目です。先に把握して、こちらから事実として伝えられる状態にしておくことが、47条との関係でも、内見当日の信頼にも効きます。

なお、洪水・土砂災害などの災害リスクは、周辺環境とは扱いが違います。こちらは35条の法定説明事項なので、災害リスク調査の記事重要事項説明の調査項目の記事で別に扱っています。

どこで調べるか(情報源の使い分け)

ひとつの情報源では埋まりません。公的データ・自治体・地図・現地を役割で分けるのが早道です。

情報源ここで取るもの注意点
国土交通省
不動産情報ライブラリ
学校、保育園・幼稚園、医療機関、駅などの位置情報。用途地域やハザード情報も同じ画面で確認できる公的データのため更新時点がある。新設・移転の反映にずれが出ることがある
市区町村
(教育委員会)
通学区域(指定校)。住所単位で公表されている最寄り校=指定校ではない。区域は変更されうる
地図サービススーパー、コンビニ、飲食店など民間の商業施設。営業時間や休業日閉店・開店の反映にずれがある。現に営業しているかは要確認
自治体の各種マップ公共施設、公園、ごみ収集、子育て支援施設など自治体ごとに掲載範囲が違う
現地音、におい、日照、人通り、交通量、夜の様子、坂の有無、道幅地図では絶対に分からない項目。ここだけは代替できない
現地は「時間帯を変えて2回」が理想です。平日の夜と休日の昼では、人通りも音も別物になります。線路沿い・幹線道路沿い・繁華街の近く・学校のそばは、時間帯によって印象が大きく変わる代表例です。1回しか行けないなら、顧客が最も長く在宅する時間帯に合わせて行くと外しません。

調べた数字をそのまま広告には書けない

ここが実務で最も事故が起きるところです。距離と所要時間の表示は、不動産の表示に関する公正競争規約でルールが決まっています。

地図アプリの直線距離を80mで割った数字は、広告に使えません。道路は直線には走っていないので、直線距離から出した分数は実際より短く出ます。社内資料の当たりをつける用途には十分でも、広告や物件概要書に転記する数字は、必ず道路距離で測り直してください。同じ理由で、川・線路・高速道路で分断されている方向は、直線距離と実際の歩行距離が大きく食い違います。

つまずきやすい3点

① 最寄りの小学校は、指定校とは限らない

指定校は距離ではなく市区町村が定める通学区域で決まります。区域の境界付近では、いちばん近い学校が指定校でないことが珍しくありません。しかも区域は児童生徒数の変動などで変更されることがあります。学区の話をするときは、地図上の最寄り校ではなく、その自治体が公表している通学区域を住所単位で確認してください。「近いのは◯◯小ですが、指定校は△△小です」と言えるかどうかで、印象は大きく変わります。

② 施設は無くなる

スーパーやドラッグストアは閉店・移転します。地図データの更新は実態より遅れるため、資料に載せた店がもう無いという事故が起きます。案内前に、少なくとも顧客が重視している施設だけは営業状況を確かめておいてください。規約上も「現に利用できるもの」を表示することとされています。

③ 嫌悪施設は「言う/言わない」ではなく「どう言うか」

何を不快と感じるかには個人差があり、一律に告知義務があると言える性質のものではありません。ただ、相手方の判断に重要な影響を及ぼす事実を故意に伏せるのは47条の問題になり得ます。安全なのは、評価を加えずに所在と距離という事実だけを伝え、現地で確認してもらう形です。「◯◯が北へ約300mにあります。窓から見えるかは現地でご確認ください」——これなら、伏せてもいないし、決めつけてもいません。

周辺環境を、住所から一括で調べる

交通・教育・医療・買い物・嫌悪施設・騒音源まで、調べる項目を選んで一覧表と位置図にまとめます。チェックを外した項目は取得もしません。

周辺環境調査書を見る →

ツールの前提を正直に書いておきます。Sonaureの周辺環境調査書が出す「徒歩◯分」は、直線距離を80mで割って切り上げた参考値です。表示規約が求める道路距離ではありません。当たりをつけて調査を短縮するための数字であり、そのまま広告や物件概要書に転記しないでください
また、取得しているのは各施設の位置と距離であって、通学区域(指定校)は含みません。学区は教育委員会の公表資料でご確認ください。商業施設の情報はOpenStreetMapに由来するため、開店・閉店の反映にずれが出ることがあります。騒音・振動源は線路・高速道路・幹線道路の近接を機械的に見ているだけで、実際の音の大きさは判定していません。最終確認は現地で、という位置づけのツールです。

よくある質問

周辺環境は重要事項説明書に書く必要がありますか?

生活利便施設の有無や距離は、宅地建物取引業法35条1項が列挙する法定の説明事項には含まれていません。ただし同法47条1項1号は「環境」「交通等の利便」を明示的に挙げ、相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項について故意に事実を告げない行為・不実を告げる行為を禁じています。書式に欄がないことと、説明しなくてよいことは別です。実務では、把握した内容を物件概要書や周辺環境調査書などの書面に残す方法が一般的です。

「駅から徒歩5分」はどのように計算しますか?

不動産の表示に関する公正競争規約では、道路に沿って測った道路距離80mを徒歩1分として換算し、80m未満の端数は切り上げます。直線距離では計算しません。2022年9月1日施行の改正で、物件側の起点は建物の出入口とされました。また販売戸数・区画数が2以上の分譲物件では、最も近い住戸だけでなく最も遠い住戸の所要時間も併記します。駅に接していても徒歩0分とは表示できず、徒歩1分と表示します。

最寄りの小学校が通学指定校とは限らないのはなぜですか?

指定校は距離ではなく、市区町村の教育委員会が定める通学区域によって決まるためです。区域の境界付近では、直線距離で近い学校が指定校でないことが珍しくありません。また通学区域は児童生徒数の変動などで変更されることがあります。学区を案内する場合は、地図上の最寄り校ではなく、当該自治体が公表している通学区域を住所単位で確認してください。

墓地や工場などの嫌悪施設は必ず伝えなければいけませんか?

何を不快と感じるかには個人差があり、一律に告知義務があると言える性質のものではありません。一方で、相手方の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事実を故意に告げないことは宅地建物取引業法47条1項1号に触れるおそれがあります。実務上は、評価を加えずに所在と距離という事実を伝え、判断は相手方に委ねる形が安全です。窓から見えるか、においや音が届くかといった体感は現地でなければ分からないため、現地確認をすすめる案内とあわせるのが確実です。

不動産会社にお勤めの方へ

Sonaureなら、住所を入れるだけで交通・教育・医療・買い物・嫌悪施設・騒音源を一覧表と位置図にまとめ、PDF/Excelで出力できます。調べる項目はチェックで選べるので、案内する顧客に合わせて資料を出し分けられます。

Sonaureの周辺環境調査を見る →
監修:おうち
宅地建物取引士。物件調査・購入諸費用・売却収支の試算を専門領域とし、Sonaure を開発・監修。運営者情報を見る

※ 本記事は2026年8月時点の法令・規約に基づく一般的な解説です。周辺環境として調査・説明すべき範囲は、物件の種別、取引の態様、相手方の事情によって異なり、個別の取引における説明義務の有無や範囲の判断は、取引を担当する宅地建物取引士および所属先の判断によります。広告表示の可否については所属する不動産公正取引協議会の判断が優先します。本記事は調査の網羅性や広告表示の適法性を保証するものではありません。
参考:宅地建物取引業法第35条/同法第47条第1項/不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則(2022年9月1日施行の改正を含む)/国土交通省「不動産情報ライブラリ」/各市区町村教育委員会が公表する通学区域