ホーム › 不動産に関する有益情報 › 高校生でもわかる不動産投資
| この話 | 不動産では | |
|---|---|---|
| 僕 | 投資する人 | 高校生。お小遣いは月5,000円 |
| お母さん | 銀行 | お金を貸してくれる。ただし条件をつける |
| お父さん | 税務署 | もうけた分から取っていく |
| 友達 | 入居者 | ゲームを借りたい人たち |
| ゲーム機 | 物件 | 1台50,000円(本体+ソフト) |
お小遣い5,000円では、1台買うのに10か月かかります。でも今すぐほしい。
「お金を貸して」と言ったら、いきなり貸してはくれませんでした。まず聞かれたのがこれです。
見られているのは、ゲームが儲かるかどうかだけではありません。僕がちゃんと返せる人間かどうかです。銀行の融資審査もこれとほぼ同じで、物件の収益力に加えて、借りる人の収入・勤務先・勤続年数・他の借入・過去の返済の履歴を見ます。過去に支払いを延滞していれば、それも記録として残っています。
そしてもうひとつ、こう言われました。
これが担保です。銀行は貸すときに物件へ抵当権を設定し、返済が滞れば売却して回収します。「貸したお金が返ってこない場合の保険」を、必ず用意してから貸すわけです。
審査は通りました。ただし条件つきです。
そこで考えました。1台だけ買うより、5台まとめて買ったほうが安いのではないか。中古ショップに聞いたら、そのとおりでした。
| 1台だけ買う | 5台まとめて買う | |
|---|---|---|
| 値段 | 50,000円 | 200,000円 |
| 1台あたり | 50,000円 | 40,000円(2割引) |
不動産でも同じことが起きます。ワンルームを1戸ずつ買うより、アパートを一棟まるごと買うほうが、1戸あたりの値段は安くなるのが普通です。売る側からすれば、まとめて手放せるほうが手間もリスクも少ないからです。
5台まとめて200,000円。自己資金は僕がためていた40,000円を出しました。
返し方も決まりました。
この16,000円が利息です。借りた額の10%にあたります。
ここで大事なのは、8,000円と800円はまったく性質が違うということ。
この違いは、あとで税金の話に出てきます。経費になるのは800円だけで、8,000円のほうは経費になりません。
値段の決め方はシンプルでした。
お母さんに返す8,800円より、高く貸せばいい。
友達と話して、1台につき月2,800円で決まりました。5台ぜんぶ貸せれば14,000円です。
お小遣いは1円も減らないどころか、毎月5,200円増える。これが不動産投資の骨格です。家賃が返済より高ければ、持っているだけでお金が増えていく。キャッシュフローと呼びます。
3か月目、1人が「今月はテスト前だから借りない」と言いました。でもお母さんへの8,800円は待ってくれません。
ここで、5台にしたことがもうひとつ効いてきます。1台だけで貸していたら、借り手がいない月の収入はゼロです。
| 借り手がいる月 | 借り手がいない月 | |
|---|---|---|
| 1台だけ(借入40,000円・返済2,200円) | +600円 | −2,200円(収入ゼロ) |
| 5台まとめて(借入160,000円・返済8,800円) | +5,200円 | +2,400円(1台あきの場合) |
1台だけだと、収入はゼロか満額かの二択です。5台あれば、1台空いても残り4台の収入が入ります。これが一棟で買う最大の利点で、空室のリスクが分散されるということです。
ただし裏側もあります。5台にすれば借入も5倍近くになり、2台同時に空けば赤字です。「分散されるから安全」ではなく、「ゼロになる月がなくなるかわりに、赤字になる水位が上がる」と理解しておくのが正確です。
18か月目、コントローラーが3台ぶん壊れました。買い替えて9,000円。
不動産でいう修繕費です。エアコンが壊れた、給湯器が寿命、外壁を塗り直す。持っている限り、こういう出費は必ず来ます。しかも戸数が多いほど、壊れる箇所も増えます。
20か月が終わった時点で、現金の収支はこうなりました。5台×20か月=のべ100台月のうち、実際に貸せたのは85台月(稼働率85%)でした。
物件価格・自己資金・家賃・金利・入居率を入れると、35年分の手残りと、各年に売った場合の結果まで出ます(登録不要)。
無料のキャッシュフローシミュレーションを使う →ここでお父さんが出てきます。
これが税金です。ただし、ここからが少しややこしい。お父さんは「手元に残った53,000円の2割」とは言いませんでした。
実際、この2つは一致しません。理由は2つあります。
買ったときは200,000円のゲーム機も、20か月後には新品同様というわけにいきません。お父さんのルールでは、20か月かけて値打ちがゼロになると決まっていました。
これが減価償却です。ポイントは、この10,000円は財布から出ていかないということ。ゲーム機の代金はもう払い終えています。それなのに、毎月10,000円が経費として数えられます。
20か月ぶんで計算すると、こうなります。
| 現金で見ると | もうけで見ると | |
|---|---|---|
| レンタル収入 | 238,000円 | 238,000円 |
| お母さんへの返済 | −176,000円 | −16,000円(上乗せ分だけ) |
| コントローラーの修理 | −9,000円 | −9,000円 |
| 値打ちの目減り | — | −200,000円 |
| 結果 | 53,000円 | 13,000円 |
お父さんに払うのは 13,000円 × 2割 = 2,600円。手元の53,000円から2,600円を引いて、残るのは50,400円です。
現金は53,000円増えているのに、税金は2,600円だけ。これが「不動産で節税」と言われるものの正体です。ただし、この話には続きがあります。
ここまで「レンタル料は月2,800円のまま」で計算してきました。でも実際には、2年目に新作ゲームが出ました。
2,500円に下げないと借りてもらえなくなりました。300円の値下げでも、5台なら月1,500円です。
| レンタル料 | 満室の収入 | 返済を引くと |
|---|---|---|
| 2,800円(当初) | 14,000円 | +5,200円 |
| 2,500円 | 12,500円 | +3,700円 |
| 2,200円 | 11,000円 | +2,200円 |
ゲームは20か月の話でした。不動産のローンは20年、30年です。その長さの間に起きることを考える必要があります。
20か月が過ぎ、返済も終わりました。ゲーム機は僕のものです。フリマアプリで売ったら、5台で100,000円になりました。
ここでお父さんが、もう一度出てきます。
売却の税金は20,000円。手取りは80,000円になりました。
ここが、この記事でいちばん大事なところです。
持っている20か月の間に払った税金は、たったの2,600円でした。値打ちの目減り200,000円を経費に数えたおかげです。
ところが売った瞬間、その200,000円を引いた結果として帳簿の値打ちが0円になっていたため、20,000円の税金がかかりました。
減価償却は税金を消す仕組みではなく、払う時期を後ろにずらす仕組みです。
20か月ぶんの手残りは50,400円でした。最終的なもうけは90,400円。差の40,000円は、売れた値段が生んでいます。
| 売れた値段 | 売却の税金 | 最終的な結果 |
|---|---|---|
| 150,000円 | 30,000円 | +130,400円 |
| 100,000円 | 20,000円 | +90,400円 |
| 50,000円 | 10,000円 | +50,400円 |
| 0円(売れなかった) | 0円 | +10,400円 |
不動産でも同じです。持っている間の手残りより、最後にいくらで売れたかのほうが結果への影響が大きい。だから不動産の世界では「出口」という言葉をよく使います。買うときに、売るときのことを考えておく。
ここからが大事な話です。ゲームの例は、わかりやすくするために都合よくできています。
ゲームは200,000円のものを年168,000円(満室)で貸していました。1年ちょっとで元が取れる計算です。現実にこんな商売はありません。不動産の表面利回り(年間家賃 ÷ 物件価格)は、都心のワンルームで4〜5%、地方や築古の一棟もので8〜10%が目安。元を取るのに10年以上かかります。
ゲーム5台を、木造アパート1棟(6戸・築15年)に置き換えます。自己資金2割はゲームと同じです。
| 項目 | 金額・条件 |
|---|---|
| 物件価格 | 4,500万円(6戸) |
| 自己資金 | 900万円(20%) |
| 借入 | 3,600万円(金利2.5%・20年) |
| 毎月の返済 | 190,765円 |
| 家賃 | 月6万円 × 6戸 = 満室で月36万円(表面利回り9.6%) |
| 運営の経費 | 年79.2万円(管理・修繕・固定資産税など) |
| 空室の数 | 年間の手残り(税引前) | 月あたり |
|---|---|---|
| 満室 | +103.9万円 | +86,543円 |
| 1戸あき | +39.1万円 | +32,543円 |
| 2戸あき | −25.7万円 | −21,457円 |
| 3戸あき | −90.5万円 | −75,457円 |
ゲームの話とまったく同じ形です。満室なら残り、1戸空いてもまだ残り、2戸空くと赤字。金額の桁が違うだけで、構造は変わりません。
比較のため、中古ワンルームを1戸だけ(1,500万円・自己資金300万円・家賃月7万円)買った場合も出します。
| 一棟アパート(6戸) | ワンルーム1戸 | |
|---|---|---|
| 満室のとき | +86,543円/月 | −11,152円/月 |
| 1戸空いたとき | +32,543円/月 | −74,152円/月(収入ゼロ) |
| 表面利回り | 9.6% | 5.6% |
ワンルーム1戸は、満室でも月11,152円のマイナスです。家賃7万円に対して返済が63,588円あり、そこに管理費・修繕積立金・固定資産税が年14.4万円かかるためです。「家賃>返済」だけを見て判断すると、この経費を見落とします。
ではワンルームがダメかというと、そうではありません。自己資金を増やす、返済期間を延ばす、もっと利回りの高い物件を選ぶ——やることはどれも「毎月の返済額を下げる」ことです。家賃は簡単に上げられないので、動かせるのは返済側なのです。
ただし、それぞれに代償があります。自己資金を増やせば手元の現金が減る。期間を延ばせば利息の総額が増える。利回りの高い物件はたいてい古いか駅から遠いので、空室が出やすい。どこかを取れば、どこかを差し出す。うまい話はありません。
むずかしそうに見えても、決めることは6つだけです。
ゲームの話でやったのは、この6つを順番に埋めていくことでした。1〜5は調べればわかります。わからないのは6だけです。
そして結果への影響がいちばん大きいのも6でした。だから不動産の世界では、買う前に「いくらで売れそうか」を必ず考えます。買うときに、売るときのことを決めておく。覚えて帰るのはそれだけで十分です。
借りたお金でモノを買い、人に貸して、その家賃で返済しながら差額を受け取る仕組みです。家賃が毎月の返済より高ければ手元にお金が残り、返し終われば物件そのものが残ります。ただし空室の月も返済は止まらないこと、持っている間ずっと経費がかかること、最終的な損得は売った値段でほぼ決まることを、あわせて理解しておく必要があります。
貸したお金が返ってこないリスクを抑えるためです。買う本人が自己資金を出していれば途中で投げ出しにくく、売ることになった場合も売値が下がったときの余裕になります。また銀行は物件を担保に取り、返済が滞れば売却して回収します。審査では物件の収益力に加えて、借りる人の収入・勤務先・他の借入・返済の履歴といった「返せる人かどうか」が見られます。
空室が起きたときの影響が変わります。1戸だけだと退去で家賃収入がゼロになり、その月の返済は全額を自分で負担します。複数戸ある一棟なら1戸空いても他の家賃が入るため、ゼロにはなりません。ただし戸数が増えれば借入額も大きくなり、複数戸が同時に空けば赤字に転じます。
多くの場合は「税金が消える」のではなく「先送りされる」だけです。減価償却で毎年の利益を小さくすると、その分だけ帳簿上の建物価格も下がります。売却時の利益は売却価格から帳簿上の価格を引いて計算するため、償却が進んでいるほど売ったときの利益が大きくなり、そこで税金がかかります。保有中に軽くした分が、売る年にまとめて戻ってくる形です。
「この物件で本当に収支が合うのか」「一棟と区分ならどちらがいいのか」を知りたいだけでも構いません。宅地建物取引士がお話をうかがいます。
お問い合わせフォームへ →投資が初めてのお客様への説明資料として、35年分の年次キャッシュフローと各年に売却した場合の手残りをPDF/Excelで自動作成できます。減価償却は構造と築年数から自動計算、個人/法人の切り替えにも対応しています。
Sonaureのキャッシュフローシミュレーションを見る →※ ゲーム機の話は、不動産投資の仕組みを理解するために単純化したたとえです。実際の税率・耐用年数・融資条件とは異なります(税率は説明のため一律2割としています)。後半の不動産の試算は記載した前提条件にもとづく概算で、実額は物件・契約条件・金融機関・地域により変動します。減価償却費は建物価格を簡便法による耐用年数で割った定額法で計算しており、実務の法定償却率による計算とはわずかに差が出ることがあります。想定した空室率・家賃・売却価格は将来を予測したものではありません。税制は改正されることがあり、本記事は2026年8月時点の制度にもとづいています。個別具体の税務・投資判断は、税理士等の専門家にご相談ください。
参考:国税庁タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」/No.5404「中古資産の耐用年数」/No.1370「不動産収入を得ている人の必要経費」/No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」/減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一