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高校生でもわかる不動産投資|ゲーム機5台を友達に貸す話

最終更新:2026年8月19日|監修:おうち(宅地建物取引士)

結論:不動産投資は「借りたお金でモノを買って、人に貸して、返済しながら差額をもらう」だけの仕組みです。
むずかしい言葉が多いだけで、構造はゲーム機を買って友達に貸すのと変わりません。この記事は最後まで、お小遣い月5,000円の高校生がゲーム機を5台買う話だけで通します。自己資金、金利、空室、修繕、税金、減価償却、出口——全部この話の中に出てきます。最後に、同じ数字を本物の一棟アパート(4,500万円)に置き換えます。

登場人物

この話不動産では
投資する人高校生。お小遣いは月5,000円
お母さん銀行お金を貸してくれる。ただし条件をつける
お父さん税務署もうけた分から取っていく
友達入居者ゲームを借りたい人たち
ゲーム機物件1台50,000円(本体+ソフト)

お小遣い5,000円では、1台買うのに10か月かかります。でも今すぐほしい。

① お母さんの審査

「お金を貸して」と言ったら、いきなり貸してはくれませんでした。まず聞かれたのがこれです。

お母さん:「お小遣いはいくら?」「毎月ちゃんと返せるの?」「もし誰も借りてくれない月があったら、自分のお小遣いから払える?」「去年、弟は前借りして返さなかったよね。あなたはちゃんと返してるから貸すのよ」

見られているのは、ゲームが儲かるかどうかだけではありません。僕がちゃんと返せる人間かどうかです。銀行の融資審査もこれとほぼ同じで、物件の収益力に加えて、借りる人の収入・勤務先・勤続年数・他の借入・過去の返済の履歴を見ます。過去に支払いを延滞していれば、それも記録として残っています。

そしてもうひとつ、こう言われました。

お母さん:「返せなくなったら、ゲーム機は取り上げるからね」

これが担保です。銀行は貸すときに物件へ抵当権を設定し、返済が滞れば売却して回収します。「貸したお金が返ってこない場合の保険」を、必ず用意してから貸すわけです。

② 買う ── 全額は借りられない

審査は通りました。ただし条件つきです。

お母さん:「貸してもいいけど、全額は出さない。あなたも一部出しなさい」

そこで考えました。1台だけ買うより、5台まとめて買ったほうが安いのではないか。中古ショップに聞いたら、そのとおりでした。

1台だけ買う5台まとめて買う
値段50,000円200,000円
1台あたり50,000円40,000円(2割引

不動産でも同じことが起きます。ワンルームを1戸ずつ買うより、アパートを一棟まるごと買うほうが、1戸あたりの値段は安くなるのが普通です。売る側からすれば、まとめて手放せるほうが手間もリスクも少ないからです。

5台まとめて200,000円。自己資金は僕がためていた40,000円を出しました。

ゲーム機5台 200,000円の内訳
自分で出したお金と、お母さんから借りたお金
自己資金 40,000円(20%) 借りたお金 160,000円(80%)
この「自分で出す2割」が、不動産でいう自己資金(頭金)です。銀行も同じことを言います。物件価格の全額は貸してくれず、2〜3割は自分で用意してくださいと。買う本人がお金を出していれば途中で投げ出しにくく、売ることになったときも売値が下がった分の余裕になるからです。

③ 返す ── 借りた額より多く返す

返し方も決まりました。

お母さん:20か月で、毎月8,000円ずつ返しなさい。それと、貸してるんだから毎月800円上乗せして」
毎月返す額 = 8,000円(元金)+ 800円(上乗せ)= 8,800円
20か月ぶんの合計 = 176,000円(借りたのは160,000円なので、16,000円多い

この16,000円が利息です。借りた額の10%にあたります。

ここで大事なのは、8,000円と800円はまったく性質が違うということ。

この違いは、あとで税金の話に出てきます。経費になるのは800円だけで、8,000円のほうは経費になりません。

④ 貸す ── 返す額より高く貸す

値段の決め方はシンプルでした。

お母さんに返す8,800円より、高く貸せばいい。

友達と話して、1台につき月2,800円で決まりました。5台ぜんぶ貸せれば14,000円です。

入ってくる 14,000円 - 出ていく 8,800円 = 毎月5,200円が残る

お小遣いは1円も減らないどころか、毎月5,200円増える。これが不動産投資の骨格です。家賃が返済より高ければ、持っているだけでお金が増えていく。キャッシュフローと呼びます。

⑤ 借りる人がいない月 ── ここから現実の話

3か月目、1人が「今月はテスト前だから借りない」と言いました。でもお母さんへの8,800円は待ってくれません

何台空くと赤字になるか
棒の長さはその月のレンタル収入。青い部分がお母さんへの返済8,800円に消える分
返済に消える 手元に残る 返済に足りない
全部貸せた
+5,200円
1台あき
+2,400円
2台あき
−400円
3台あき
−3,200円
014,000円
2台空くと赤字になり、足りない分はお小遣いから出すことになります。これが不動産でいう空室です。誰も住んでいなくてもローンの返済は毎月来ます。

もし1台だけ買っていたら

ここで、5台にしたことがもうひとつ効いてきます。1台だけで貸していたら、借り手がいない月の収入はゼロです。

借り手がいる月借り手がいない月
1台だけ(借入40,000円・返済2,200円)+600円−2,200円(収入ゼロ
5台まとめて(借入160,000円・返済8,800円)+5,200円+2,400円(1台あきの場合)

1台だけだと、収入はゼロか満額かの二択です。5台あれば、1台空いても残り4台の収入が入ります。これが一棟で買う最大の利点で、空室のリスクが分散されるということです。

ただし裏側もあります。5台にすれば借入も5倍近くになり、2台同時に空けば赤字です。「分散されるから安全」ではなく、「ゼロになる月がなくなるかわりに、赤字になる水位が上がる」と理解しておくのが正確です。

⑥ 壊れる ── 持っている限り出ていくお金

18か月目、コントローラーが3台ぶん壊れました。買い替えて9,000円

不動産でいう修繕費です。エアコンが壊れた、給湯器が寿命、外壁を塗り直す。持っている限り、こういう出費は必ず来ます。しかも戸数が多いほど、壊れる箇所も増えます

20か月が終わった時点で、現金の収支はこうなりました。5台×20か月=のべ100台月のうち、実際に貸せたのは85台月(稼働率85%)でした。

レンタル収入 2,800円 × 85 = 238,000円
お母さんへの返済 8,800円 × 20 = −176,000円
コントローラーの修理 = −9,000円
手元に残った現金 = 53,000円
この計算を、本物の物件の数字でやってみる

物件価格・自己資金・家賃・金利・入居率を入れると、35年分の手残りと、各年に売った場合の結果まで出ます(登録不要)。

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⑦ お父さんのルール ── 税金

ここでお父さんが出てきます。

お父さん:「もうけたなら、その2割はうちに入れなさい

これが税金です。ただし、ここからが少しややこしい。お父さんは「手元に残った53,000円の2割」とは言いませんでした。

お父さん:もうけの2割だ。手元に残ったお金と、もうけは別のものだぞ」

実際、この2つは一致しません。理由は2つあります。

⑧ 値打ちが減る分も「損」に数えていい ── 減価償却

お父さん:「ゲーム機は毎年古くなって値打ちが下がるだろう。その目減り分は、毎年『損した分』として数えていい

買ったときは200,000円のゲーム機も、20か月後には新品同様というわけにいきません。お父さんのルールでは、20か月かけて値打ちがゼロになると決まっていました。

200,000円 ÷ 20か月 = 毎月10,000円ずつ値打ちが減る

これが減価償却です。ポイントは、この10,000円は財布から出ていかないということ。ゲーム機の代金はもう払い終えています。それなのに、毎月10,000円が経費として数えられます。

同じ1か月を、現金で見た場合と「もうけ」で見た場合
5台ぜんぶ貸せた月。3本(収入/出ていく現金/経費に数える分)は同じ縮尺です
お母さんへの返済・上乗せ 値打ちの目減り(減価償却)
収入
14,000円
現金
8,800円
経費
10,800円
014,000円
2本目(現金)は返済8,800円だけなので、手元には5,200円が残ります。3本目(経費)は上乗せ800円と値打ちの目減り10,000円で10,800円になり、もうけは3,200円しかないことになります。
現金は5,200円増えているのに、税金がかかるのは3,200円のほう。現金より少ない額に課税される——これが減価償却の効き目です。

20か月ぶんで計算すると、こうなります。

現金で見るともうけで見ると
レンタル収入238,000円238,000円
お母さんへの返済−176,000円−16,000円(上乗せ分だけ)
コントローラーの修理−9,000円−9,000円
値打ちの目減り−200,000円
結果53,000円13,000円

お父さんに払うのは 13,000円 × 2割 = 2,600円。手元の53,000円から2,600円を引いて、残るのは50,400円です。

現金は53,000円増えているのに、税金は2,600円だけ。これが「不動産で節税」と言われるものの正体です。ただし、この話には続きがあります。

⑨ 2年目、新作が出た ── 時間の話

ここまで「レンタル料は月2,800円のまま」で計算してきました。でも実際には、2年目に新作ゲームが出ました。

友達:「そのゲーム、もう古いよ。2,800円は高い」

2,500円に下げないと借りてもらえなくなりました。300円の値下げでも、5台なら月1,500円です。

レンタル料満室の収入返済を引くと
2,800円(当初)14,000円+5,200円
2,500円12,500円+3,700円
2,200円11,000円+2,200円

ゲームは20か月の話でした。不動産のローンは20年、30年です。その長さの間に起きることを考える必要があります。

⑩ 売る ── 軽くしていた税金が、まとめて来る

20か月が過ぎ、返済も終わりました。ゲーム機は僕のものです。フリマアプリで売ったら、5台で100,000円になりました。

ここでお父さんが、もう一度出てきます。

お父さん:「帳簿の上では、そのゲーム機の値打ちはもう0円だったな。0円のものが100,000円で売れたなら、まるまる100,000円がもうけだ。2割もらうぞ」

売却の税金は20,000円。手取りは80,000円になりました。

ここが、この記事でいちばん大事なところです。
持っている20か月の間に払った税金は、たったの2,600円でした。値打ちの目減り200,000円を経費に数えたおかげです。
ところが売った瞬間、その200,000円を引いた結果として帳簿の値打ちが0円になっていたため、20,000円の税金がかかりました。
減価償却は税金を消す仕組みではなく、払う時期を後ろにずらす仕組みです。

20か月で動いたお金のすべて
2本は同じ縮尺です
自己資金・修理 お母さんへの返済 お父さんへの税金 レンタル収入・売った代金
出ていった
247,600円
入ってきた
338,000円
0338,000円
出ていったのは、自己資金40,000円+返済176,000円+修理9,000円+税金22,600円=247,600円。入ってきたのは、レンタル収入238,000円+売った代金100,000円=338,000円
差し引き+90,400円。最初に出した40,000円が、20か月後には130,400円になって戻ってきました。

もうけの大半は、売れた値段が生んでいる

20か月ぶんの手残りは50,400円でした。最終的なもうけは90,400円。差の40,000円は、売れた値段が生んでいます。

売れた値段売却の税金最終的な結果
150,000円30,000円+130,400円
100,000円20,000円+90,400円
50,000円10,000円+50,400円
0円(売れなかった)0円+10,400円

不動産でも同じです。持っている間の手残りより、最後にいくらで売れたかのほうが結果への影響が大きい。だから不動産の世界では「出口」という言葉をよく使います。買うときに、売るときのことを考えておく。

本物の一棟アパートに置き換えると

ここからが大事な話です。ゲームの例は、わかりやすくするために都合よくできています。

まず、利回りが違いすぎる

ゲームは200,000円のものを年168,000円(満室)で貸していました。1年ちょっとで元が取れる計算です。現実にこんな商売はありません。不動産の表面利回り(年間家賃 ÷ 物件価格)は、都心のワンルームで4〜5%、地方や築古の一棟もので8〜10%が目安。元を取るのに10年以上かかります。

数字を入れてみる

ゲーム5台を、木造アパート1棟(6戸・築15年)に置き換えます。自己資金2割はゲームと同じです。

項目金額・条件
物件価格4,500万円(6戸)
自己資金900万円(20%)
借入3,600万円(金利2.5%・20年)
毎月の返済190,765円
家賃月6万円 × 6戸 = 満室で月36万円(表面利回り9.6%)
運営の経費年79.2万円(管理・修繕・固定資産税など)
空室の数年間の手残り(税引前)月あたり
満室+103.9万円+86,543円
1戸あき+39.1万円+32,543円
2戸あき−25.7万円−21,457円
3戸あき−90.5万円−75,457円

ゲームの話とまったく同じ形です。満室なら残り、1戸空いてもまだ残り、2戸空くと赤字。金額の桁が違うだけで、構造は変わりません。

1戸だけ買った場合との違い

比較のため、中古ワンルームを1戸だけ(1,500万円・自己資金300万円・家賃月7万円)買った場合も出します。

一棟アパート(6戸)ワンルーム1戸
満室のとき+86,543円/月−11,152円/月
1戸空いたとき+32,543円/月−74,152円/月(収入ゼロ
表面利回り9.6%5.6%

ワンルーム1戸は、満室でも月11,152円のマイナスです。家賃7万円に対して返済が63,588円あり、そこに管理費・修繕積立金・固定資産税が年14.4万円かかるためです。「家賃>返済」だけを見て判断すると、この経費を見落とします。

ではワンルームがダメかというと、そうではありません。自己資金を増やす、返済期間を延ばす、もっと利回りの高い物件を選ぶ——やることはどれも「毎月の返済額を下げる」ことです。家賃は簡単に上げられないので、動かせるのは返済側なのです。

ただし、それぞれに代償があります。自己資金を増やせば手元の現金が減る。期間を延ばせば利息の総額が増える。利回りの高い物件はたいてい古いか駅から遠いので、空室が出やすい。どこかを取れば、どこかを差し出す。うまい話はありません。

まとめ ── 不動産投資は、6つの数字でできている

むずかしそうに見えても、決めることは6つだけです。

  1. いくらのものを買うか(物件価格)
  2. いくら自分で出すか(自己資金)
  3. いくら借りて、毎月いくら返すか(借入・金利・期間)
  4. いくらで貸せるか(家賃・戸数)
  5. 持っている間、いくら出ていくか(経費・空室・修繕・税金)
  6. 最後にいくらで売れるか(出口)

ゲームの話でやったのは、この6つを順番に埋めていくことでした。1〜5は調べればわかります。わからないのは6だけです。

そして結果への影響がいちばん大きいのも6でした。だから不動産の世界では、買う前に「いくらで売れそうか」を必ず考えます。買うときに、売るときのことを決めておく。覚えて帰るのはそれだけで十分です。

よくある質問

不動産投資の仕組みを一言でいうと何ですか?

借りたお金でモノを買い、人に貸して、その家賃で返済しながら差額を受け取る仕組みです。家賃が毎月の返済より高ければ手元にお金が残り、返し終われば物件そのものが残ります。ただし空室の月も返済は止まらないこと、持っている間ずっと経費がかかること、最終的な損得は売った値段でほぼ決まることを、あわせて理解しておく必要があります。

なぜ銀行は物件価格の全額を貸してくれないのですか?

貸したお金が返ってこないリスクを抑えるためです。買う本人が自己資金を出していれば途中で投げ出しにくく、売ることになった場合も売値が下がったときの余裕になります。また銀行は物件を担保に取り、返済が滞れば売却して回収します。審査では物件の収益力に加えて、借りる人の収入・勤務先・他の借入・返済の履歴といった「返せる人かどうか」が見られます。

1戸だけ買うのと、一棟まるごと買うのはどう違いますか?

空室が起きたときの影響が変わります。1戸だけだと退去で家賃収入がゼロになり、その月の返済は全額を自分で負担します。複数戸ある一棟なら1戸空いても他の家賃が入るため、ゼロにはなりません。ただし戸数が増えれば借入額も大きくなり、複数戸が同時に空けば赤字に転じます。

減価償却で税金が安くなるなら、得なのではないですか?

多くの場合は「税金が消える」のではなく「先送りされる」だけです。減価償却で毎年の利益を小さくすると、その分だけ帳簿上の建物価格も下がります。売却時の利益は売却価格から帳簿上の価格を引いて計算するため、償却が進んでいるほど売ったときの利益が大きくなり、そこで税金がかかります。保有中に軽くした分が、売る年にまとめて戻ってくる形です。

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監修:おうち
宅地建物取引士。物件調査・購入諸費用・売却収支の試算を専門領域とし、Sonaure を開発・監修。運営者情報を見る

※ ゲーム機の話は、不動産投資の仕組みを理解するために単純化したたとえです。実際の税率・耐用年数・融資条件とは異なります(税率は説明のため一律2割としています)。後半の不動産の試算は記載した前提条件にもとづく概算で、実額は物件・契約条件・金融機関・地域により変動します。減価償却費は建物価格を簡便法による耐用年数で割った定額法で計算しており、実務の法定償却率による計算とはわずかに差が出ることがあります。想定した空室率・家賃・売却価格は将来を予測したものではありません。税制は改正されることがあり、本記事は2026年8月時点の制度にもとづいています。個別具体の税務・投資判断は、税理士等の専門家にご相談ください。
参考:国税庁タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」/No.5404「中古資産の耐用年数」/No.1370「不動産収入を得ている人の必要経費」/No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」/減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一