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周辺環境調査書のテンプレート|項目構成・記載例・免責文のひな形

最終更新:2026年8月1日|監修:おうち(宅地建物取引士)

周辺環境調査書に法定の様式はありません。だからこそ、型を決めないと担当者ごとに中身がばらつきます。
そして見落とされがちですが、お客様に渡す調査書は、不動産の表示に関する公正競争規約でいう「表示」に当たり得ます。書き方にはルールが及ぶという前提が要ります。
この記事では、7ブロックの構成・一覧表の5列・そのままコピーできる免責文まで、書面の型として示します。

先に確認:この書面は「社内メモ」ではない

不動産の表示に関する公正競争規約は「表示」を、顧客を誘引するための手段として、事業者が不動産の内容や取引条件その他取引に関する事項について行う広告その他の表示と定義しています。そして対象には、チラシ・ビラ・パンフレットのほか「説明書面その他これらに類似する物」、さらに口頭によるものまで含まれます。

つまり、契約を勧める目的でお客様に手渡す周辺環境調査書は、この「説明書面」に当たり得ます。ホームページやチラシではないから自由に書ける、という整理はできません。徒歩所要時間の算出方法など、広告のルールが及ぶ前提で作っておくのが安全です。
特に距離の書き方です。徒歩所要時間は道路距離80mを1分として換算し、端数は切り上げるのが規約の定めです。地図上の直線距離から出した分数は実際より短く出るため、社内の当たりをつける用途にとどめてください。ルールの詳細は周辺環境の調べ方の記事にまとめています。

テンプレートの構成(7ブロック)

上から順に、次の7つで組み立てます。①②⑥⑦が毎回必ず入る枠で、③〜⑤が物件ごとに中身の変わる本体です。

ブロック入れる内容
表題・対象物件「周辺環境調査書」の表題、対象物件の所在(住所)、物件名。地図から特定した位置なら「推定位置」と断る
調査日・作成者調査年月日、会社名、担当者名。施設は入れ替わるため、いつ時点の情報かが最重要
施設一覧本体。分類ごとに施設名・距離・方角を並べる(次章で詳述)
位置図物件と主要施設の位置関係がわかる地図。地図の出典を明記する
特記事項嫌悪施設、騒音・振動源、坂道や道幅など、一覧表に収まらない事実。評価は書かない
調査範囲・調査対象外どこまで調べたか。調べていない項目も明記する
出典・免責データの出所と、重要事項説明書ではない旨。ひな形は後述
⑥を入れるかどうかが、この書面の性格を決めます。調べた範囲を書かない調査書は、読み手には「網羅的に調べた結果」に見えます。「駅・学校・医療・買い物のみ調査」「嫌悪施設は半径800mを調査」のように範囲を書いておけば、書面の守備範囲がそのまま伝わります。

施設一覧の列構成(5列)

列を増やしすぎると1枚に収まらず、減らしすぎると情報として使えません。実務では次の5列が過不足のない形です。

分類名称距離・徒歩方角備考
最寄り駅◯◯線 △△駅約640m/徒歩8分北東各駅停車
小学校市立◯◯小学校約480m/徒歩6分西通学指定校は要確認
スーパー◯◯ストア △△店約320m/徒歩4分9:00〜22:00
嫌悪施設該当なし半径800m以内に該当なし
騒音・振動源◯◯線(線路)約120m南西影響は現地でご確認ください

方角の列は、あると案内が一段楽になります。「駅は北東に約640m」と言えれば、地図を広げなくても位置関係が伝わります。日当たりや線路の向きの話にもそのままつながります。

書き方の型(3つだけ)

① 評価語を書かない

「閑静」「利便性が高い」「治安が良い」は、書いた人の評価です。感じ方は人によって違うため、後日ちがう体感を持たれたときに説明の食い違いになります。施設名・方角・距離という事実だけを並べ、判断はお客様に委ねる。伝えたい要素があるなら「線路まで約120m」のように事実として書けば、同じ情報が争いになりにくい形で残ります。

② 「無し」を空欄にしない

空欄は、読み手には「調べていない」のか「調べたが無かった」のか区別できません。該当がなければ「該当なし」と明記し、あわせて調べた範囲を書いてください。無かったことを記録するのも調査書の役割です。

嫌悪施設の欄は特にそうです。空欄のまま渡すと、後から施設が見つかったときに「調べなかったのでは」と受け取られかねません。「半径800m以内に該当なし(2026年8月1日調査)」と書いてあれば、調査した事実・範囲・時点の3つが残ります。

③ 調査日と出典を必ず入れる

店舗は閉店し、施設は移転します。調査日が書いていない書面は、時間が経つほど責任の所在が曖昧になります。公的データを使ったなら出典名、地図を載せたならその出典も明記してください。

免責文のひな形

そのまま使える形にしています。自社の運用に合わせて調整してください。

出典・免責(書面末尾に記載)
※ 本書は周辺環境に関する参考情報の提供を目的としたものであり、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明書ではありません
※ 記載内容は2026年◯月◯日時点の公開情報および現地確認に基づきます。施設の所在・営業状況・名称は変更されることがあります。
※ 距離および所要時間は◯◯(道路距離/地図上の計測)に基づく概算です。徒歩所要時間は道路距離80mにつき1分として算出しています。
※ 通学指定校は各市区町村の教育委員会が定める通学区域によります。最寄りの学校が指定校とは限りませんので、必ず自治体の公表資料でご確認ください。
※ 騒音・振動、におい、日照、人通りなどの体感は、時間帯や気象条件により変わります。現地にてご確認ください
※ 出典:◯◯(例:国土交通省「不動産情報ライブラリ」/国土地理院)
免責文は「書いておけば免責される」ものではありません。事実と違うことを書いた、あるいは知っていて伏せた場合の責任は、注記の有無で消えるものではないと考えてください。宅地建物取引業法47条1項1号は「環境」「交通等の利便」を名指しで挙げ、判断に重要な影響を及ぼす事項について故意に事実を告げない行為を禁じています。免責文の役割は、この書面が何を示していて何を示していないかを、読み手と共有することです。

渡すタイミング

内見のに渡すと、お客様は現地で「書いてあった線路はここか」と確認しながら歩けます。当日その場で渡すより、事前に目を通してもらったほうが質問が具体的になり、案内が濃くなります。

また、調査書は渡した控えを残しておくことをおすすめします。何をいつ伝えたかの記録になり、後日の食い違いを防げます。

この構成の調査書を、住所から自動で作る

施設一覧・位置図・調査対象外の明記・出典・免責まで含んだ書面を、住所を入れるだけで作成します。HTML / PDF / Excelで出力できます。

周辺環境調査書を見る →

ツールの前提を正直に書いておきます。Sonaureの周辺環境調査書が出す「徒歩◯分」は直線距離を80mで割った参考値で、規約が求める道路距離ではありません。お客様に渡す書面に載せる数字は、道路距離で測り直してください(本記事の免責ひな形で計測方法を選べるようにしてあるのはこのためです)。
通学指定校は取得対象外です。出力されるのは学校の位置と距離だけなので、学区は教育委員会の資料でご確認ください。商業施設の情報はOpenStreetMap由来のため開店・閉店の反映にずれがあり、地域の豆知識はWikipedia由来で正確性は保証されません(いずれも出典と注記つきで出力されます)。現地確認と差し替えを前提とした下書きとしてお使いください。

よくある質問

周辺環境調査書に決まった様式はありますか?

法令で定められた様式はありません。重要事項説明書(35条書面)と違い、記載事項も書式も自由です。ただし自由だからこそ担当者ごとに内容と精度がばらつきます。会社として型を1つ決め、調査した項目・調査日・出典・免責を必ず載せる形にしておくと、品質が安定し、後から「何を調べて何を伝えたか」を確認できる記録にもなります。

お客様に渡す調査書にも、不動産広告のルールは及びますか?

及ぶ場合があります。不動産の表示に関する公正競争規約は「表示」を、顧客を誘引するための手段として事業者が取引に関する事項について行う広告その他の表示と定義し、チラシやパンフレットのほか説明書面、さらに口頭によるものまで含めています。契約を勧める目的でお客様に渡す周辺環境調査書は、この説明書面に当たり得ます。徒歩所要時間を道路距離80m=1分で算出するといった表示のルールは、社外に出す書面にも及ぶ前提で作るのが安全です。

該当する施設が無かった項目は、どう書けばいいですか?

空欄にせず「該当なし」と明記し、あわせて調査した範囲も書いてください。空欄は「調べていない」のか「調べたが無かった」のか読み手に区別できません。たとえば嫌悪施設の欄なら「半径800m以内に該当なし」と書けば、調査した事実と範囲の両方が残ります。無かったことを記録するのも調査書の役割です。

調査書に「静かで良い環境です」と書いてもいいですか?

おすすめしません。静かかどうかの感じ方は人によって違い、書き手の評価を書くと、後日それと違う体感を持たれたときに説明の食い違いになります。調査書には施設名・方角・距離という事実だけを並べ、印象の判断はお客様に委ねてください。伝えたい要素があるなら「線路まで約120m」のように、評価ではなく事実として書けば、同じ情報が争いになりにくい形で残ります。

不動産会社にお勤めの方へ

Sonaureなら、この記事の構成に沿った周辺環境調査書を、住所を入れるだけで作成できます。調べる施設は項目ごとに選択でき、調査対象外にした項目も書面に明記されます。PDF/Excelでそのまま出力できます。

Sonaureの周辺環境調査を見る →
監修:おうち
宅地建物取引士。物件調査・購入諸費用・売却収支の試算を専門領域とし、Sonaure を開発・監修。運営者情報を見る

※ 本記事は2026年8月時点の法令・規約に基づく一般的な解説です。本記事に掲載した構成例および免責文のひな形は一例であり、そのまま用いたことによる結果について責任を負うものではありません。書面の記載内容が「表示」に該当するかどうか、また表示規約に適合するかどうかの判断は、所属する不動産公正取引協議会の判断が優先します。個別の取引における説明義務の有無や範囲の判断は、取引を担当する宅地建物取引士および所属先の判断によります。
参考:不動産の表示に関する公正競争規約第4条(表示の定義)・同施行規則(徒歩所要時間および施設までの距離の表示基準、2022年9月1日施行の改正を含む)/宅地建物取引業法第35条・第47条第1項/国土交通省「不動産情報ライブラリ」/各市区町村教育委員会が公表する通学区域