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新築の内見で必ず見るポイントと注意点|床の傾き3/1000・基礎のひび0.3mmなど国の基準つきチェックリスト
新築の内見で見るのは「図面どおりに建っているか」「見えない部分を証明する書類があるか」「この価格に何が含まれていないか」の3つです。
新築だから傷んでいない、という前提は正しい一方で、法律が10年間保証するのは構造と雨漏りだけです。仕上げの傷、建具の不具合、図面との食い違い、価格に入っていない設備は、内見と引渡し前の内覧会で自分が見つけない限り、誰も指摘してくれません。この記事は、完成した建売・マンションを見るときと、未完成でモデルルームを見るときに分けて、見る場所と判断の物差しを整理したものです。
「内見」と「内覧会」は役割が違う
| 内見 | 内覧会(施主検査・竣工検査) |
| いつ | 契約前 | 契約後、引渡しの前 |
| 目的 | 買うかどうかを決める | 傷・不具合・図面との違いを指摘して直してもらう |
| 気づいたことの扱い | 契約の条件にする(書面に残す) | 指摘リストを作り、是正後に再内覧会で確認する |
完成済みの建売やマンションでは、同じ部屋を内見して契約し、引渡し前にもう一度内覧会で見ることになります。内見で見つけた不具合は「直してもらう前提で契約する」か「価格に織り込む」かを契約前に決め、書面に残すのが原則です。口頭の「直しておきます」は、担当者が変わると消えます。
持ち物
- 図面一式(間取り図・配置図・仕様書)— 現物と照らし合わせるための基準。売主からもらえない場合はその時点で注意
- メジャー(5m以上) — 家具の寸法だけでなく、駐車スペースと搬入経路を測る
- 水平器かスマホの水平器アプリ — 床と窓台に置く。数値の見方は次の章で
- 懐中電灯 — 床下点検口・小屋裏点検口・収納の奥を見る
- カメラ — 気になった箇所は「全体」と「寄り」の2枚で撮り、位置が分かるようにしておく
- 付箋・マスキングテープ — 傷や汚れの位置に貼っておくと、内覧会で指摘リストを作りやすい
建物の外まわりで見ること
- 基礎のひび割れ — 幅に注目します。国の技術的基準では、幅0.3mm未満なら構造の瑕疵がある可能性は低く、0.3mm以上0.5mm未満で一定程度、0.5mm以上、または錆汁を伴うもので高いと整理されています。0.3mmは名刺の厚さと同じくらいです。乾燥収縮による細いひびは珍しくありませんが、幅のあるものや同じ場所に集中しているものは、売主に原因の説明を求めてください
- 境界標と越境 — 境界の杭やプレートが4隅にあるか。隣家の屋根・雨樋・エアコン室外機・植栽がこちらに入っていないか、逆にこちらの物が出ていないか。越境は引渡し後に解消するのが難しく、売却時にも問題になります
- 雨水の処理 — 雨樋が途中で途切れていないか、基礎の周りの土が建物側に傾いていないか、水切りの下に隙間がないか
- 駐車スペースの寸法 — 幅と奥行きを実測し、前面道路の幅と合わせて、実際の車で切り返せるかを考えます。図面の「駐車可」は車種を選びません
- 隣地との離れ — 外壁のメンテナンス(足場)が組める距離か。給湯器・室外機の位置が隣家の窓の正面になっていないか
- 外構の範囲 — フェンス・門扉・ポスト・植栽・カーポートのどこまでが価格に含まれるか。仕様書と現物で確認します
室内で見ること
床の傾き
水平器を床の数か所と窓台に置きます。国土交通省の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号)は、床や壁の傾斜と構造上の瑕疵の関係を次のように整理しています。
| 傾斜 | 構造耐力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性 | 3mの距離に直すと |
| 3/1000未満 | 低い | 高低差 9mm未満 |
| 3/1000以上 6/1000未満 | 一定程度存する | 9mm〜18mm未満 |
| 6/1000以上 | 高い | 18mm以上 |
この基準は紛争になったときの参考であって、「3/1000未満なら瑕疵がない」と決めるものではありません。逆に、新築で3/1000を超える傾きが出ていれば、施工か地盤に原因があると考えるのが自然です。原因の説明と、必要なら地盤調査報告書の提示を求めてください。
建具・窓・仕上げ
- すべての扉・引き戸・窓を開け閉めする — 途中で止まる、勝手に閉まる、枠に擦る、鍵がかかりにくい。建て付けの不良は傾きのサインでもあります
- 窓のサッシまわり — 網戸の有無、シャッターや雨戸の有無、ガラスの種類(ペアガラスかどうか)。これらはオプション扱いになっていることがあります
- クロスと床 — 継ぎ目の浮き、隅の隙間、傷、汚れ。新築の内覧会でもっとも指摘が多いのはここです。直してもらえる範囲なので、見つけたら付箋を貼ります
- 収納の中 — 棚板の枚数、ハンガーパイプの有無、奥行き。図面の「WIC」の中身は物件ごとに違います
設備と点検口
- 水を実際に出す・流す — キッチン・洗面・浴室・トイレで、給水と排水、水漏れ、水圧を確認します。完成物件でも「まだ通水していない」場合は、内覧会で必ず確認するよう約束を取ります
- 24時間換気 — 2003年7月の建築基準法改正以降、新築住宅には常時換気設備の設置が原則として義務づけられています。スイッチの場所と、給気口が各居室にあるかを見ます
- 分電盤とコンセント — 契約アンペア、回路数、コンセントの位置と数を図面と照合します。エアコンの専用回路とスリーブ(配管穴)の有無は、後から足すと費用が大きくなります
- 床下点検口・小屋裏点検口 — 場所を確認し、開けて中を照らします。床下は配管の水漏れや木くずの放置、断熱材のずれ、基礎の内側のひび。小屋裏は断熱材の敷き方と雨染み。点検口がない、または家具で塞がれる位置にある物件は、将来の点検と修繕がしにくくなります
- 給湯器の号数と設置位置 — 家族の人数に対して十分か。設置位置が隣家に近すぎないか
建売で「価格に含まれていない」ことが多いもの
建売住宅は完成した状態で売られているため、見たままがすべて付いてくると思いがちです。実際には標準仕様とオプションの線引きが売主ごとに違い、次のものは含まれていないケースがよくあります。
| 項目 | 確認のしかた |
| 網戸 | 付いていなければオプションのことが多い。全窓分で見積りを取る |
| カーテンレール | 窓ごとに費用がかかる。取付位置の下地の有無も聞く |
| テレビアンテナ・配線 | アンテナの有無、光回線の引込口の位置 |
| 照明器具 | 引掛シーリングだけで器具は付かないことが多い |
| エアコン | 本体はもちろん、専用回路とスリーブの有無を確認 |
| 雨戸・シャッター・面格子 | 防犯上の希望があれば、後付けの可否と費用 |
| 外構(フェンス・門扉・カーポート・植栽) | 仕様書の範囲と現物を照合。「外構別途」の表記に注意 |
内見の場で「この価格に何が入っているか」を仕様書で確認し、入っていないものは見積りを取ってから資金計画に足してください。諸費用とは別に、入居までに必要な現金が数十万円単位で増えることがあります。
書類で見ること(見えない部分はここで判断する)
構造や施工の良し悪しは、内見で見える範囲だけでは判断できません。代わりに、あるべき書類がそろっているかで判断します。
- 建築確認済証と検査済証 — 確認済証は着工前に「計画が法律に適合している」と認められた証明、検査済証は完成後の完了検査に合格した証明です。検査済証がないと、多くの金融機関で住宅ローンが通りません。完成物件で「検査済証はこれから」なら、交付を引渡しの条件にします
- 住宅瑕疵担保責任保険の付保証明(または供託の説明) — 2009年10月以降に引き渡される新築住宅は、売主が保険加入か供託で修理費用を確保しておくことが法律で義務づけられています。重要事項説明の項目にもなっています
- 設計図書・仕様書 — 間取り図だけでなく、仕上表と設備表。内見で照合した内容と、契約書に添付される図面が同じものかを確認します
- 地盤調査報告書と地盤改良の記録 — 建売なら売主が持っています。傾きが気になった場合は特に
- 住宅性能評価書(取得している場合)— 耐震等級や断熱等級が第三者機関の評価として書かれています。任意の制度なので、ない物件も多くあります
- 省エネ基準への適合 — 2025年4月以降に着工した新築住宅は、原則として省エネ基準への適合が義務づけられました。それより前に着工した在庫物件は対象外なので、断熱性能を重視するなら着工時期と仕様を確認します
- アフターサービス基準 — 法律の10年保証とは別に、売主が独自に定める保証(内装や設備の1〜2年など)。書面の有無と範囲を確認します
法律が守ってくれる範囲と、くれない範囲
| 項目 | 内容 |
| 新築の定義 | 建設工事の完了から1年未満で、まだ誰も住んだことのない住宅(品確法)。1年を過ぎると「未入居」であっても新築とは表示できません |
| 10年間の瑕疵担保責任 | 構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁など)と雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁など)について、引渡しから10年間、売主が責任を負います(品確法)。契約で短くすることはできません |
| 保証の裏付け | 売主が倒産しても修理費用が出るよう、保険加入または供託が義務(住宅瑕疵担保履行法) |
| 10年保証の対象外 | 内装の傷、建具の建て付け、設備の故障、図面との違い。これらは内覧会での指摘とアフターサービス基準で対応します |
10年保証があるから内見は軽くていい、は逆です。保証の対象が構造と雨漏りに限られているからこそ、それ以外は引渡し前に自分で見つけて直してもらうしかありません。引渡し後に見つけた傷は「入居後に付いたもの」と区別がつかず、対応してもらえないことがあります。
未完成でモデルルームを見る場合
新築マンションや完成前の建売では、実物ではなくモデルルームや別の完成棟を見て契約することがあります。見るべきものが変わります。
- モデルルームの仕様のうち、標準はどれか — 食洗機・床暖房・造作収納・照明・壁紙の一部がオプションになっていることは珍しくありません。「標準仕様書」と照らして、部屋の中で標準でないものに印を付けてもらいます
- 天井高と梁・下がり天井 — モデルルームとは別のタイプ・別の階だと、梁の出方が変わります。自分が買う住戸の図面(天井伏図)で確認します
- 方位・階・眺望は現地で — 建設地に行き、同じ高さから何が見えるか、隣接地に建物が建つ余地があるかを見ます。日当たりは時間帯を変えて2回
- 管理費・修繕積立金の初期設定 — 新築マンションは修繕積立金が低く設定され、数年ごとに上がる「段階増額積立方式」が多くあります。国土交通省のガイドライン(2024年6月改定)では、段階的に増額する場合も最終的な額は当初の1.8倍以内に収めることが目安とされ、均等積立方式が推奨されています。長期修繕計画で将来いくらになるかを確認してください
- 手付金の保全 — 売主が不動産会社の場合、未完成物件では手付金等が代金の5%または1,000万円を超えると、完成物件では10%または1,000万円を超えると、売主は保全措置(保証や保険)を取らなければなりません(宅建業法)。また手付金は代金の20%を超えて受け取れません。保全の有無と方法は重要事項説明で説明されます
- 引渡し時期と、遅れた場合の扱い — 完成予定と引渡し予定、遅れたときの契約上の取り決め(解除・違約金・仮住まいの費用)
内見のあとにやること
- 気づいた点をその日のうちに書き出す — 写真と付箋の位置を対応させ、「直してもらう」「価格交渉の材料」「許容する」に分けます。
- 直してもらう項目は契約書か覚書に入れる — 引渡しまでに是正すること、是正後に再確認することを条件として書面にします。
- オプション費用と外構費用を資金計画に足す — 諸費用とは別枠です。入居後に必要な現金が足りなくなる原因の筆頭です。
- 内覧会は「検査」として臨む — 見学ではありません。時間は1〜2時間かかるのが普通で、指摘リストを渡し、是正後の再内覧会まで含めて予定を組みます。
よくある質問
新築なのに内見でチェックする必要はありますか?
あります。新築で法律が10年間保証するのは、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分だけです。床や壁の傷、建具の建て付け、設備の不具合、図面との食い違いは保証の対象外で、引渡し前に指摘しなければ「そういうものとして受け取った」扱いになりやすくなります。また、新築は前の住人がいないため、住んでみて分かる不具合の情報がゼロです。中古より見るべき点が少ないのではなく、見るべき点が違うと考えてください。
床の傾きはどのくらいまでなら問題ないのですか?
国土交通省の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号)では、床の傾斜が3/1000未満なら構造耐力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性は低い、3/1000以上6/1000未満なら一定程度存在する、6/1000以上なら高い、と整理されています。3/1000は3mの距離で9mmの高低差です。ただしこの基準は紛争処理の目安であり、3/1000未満なら瑕疵がないと決まるわけではありません。気になる傾きがあれば、売主に原因の説明を求めてください。
建売住宅の価格に含まれていないものは何ですか?
売主や物件によって違いますが、網戸、カーテンレール、テレビアンテナ、照明器具、エアコン、雨戸やシャッター、面格子、外構の一部(フェンス・門扉・カーポート)は、標準仕様に含まれずオプション扱いになっていることがよくあります。内見のときに「この価格に何が含まれているか」を仕様書で確認し、含まれていないものは見積りを取ってから資金計画に入れてください。
内見と内覧会は何が違うのですか?
内見は買うかどうかを決めるための見学で、契約前に行います。内覧会は契約後・引渡し前に行う検査で、施主検査や竣工検査とも呼ばれます。内覧会では傷や不具合を指摘して是正してもらい、手直し後に再内覧会で確認します。完成済みの建売やマンションでは内見と内覧会が同じ物件で行われることもありますが、役割は別です。内見で気づいた点は契約前に条件として書面に残し、内覧会では指摘リストを作って是正の記録を残してください。
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監修:おうち
宅地建物取引士。物件調査・購入諸費用・売却収支の試算を専門領域とし、Sonaure を開発・監修。
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※ 本記事は2026年9月時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。傾斜やひび割れの数値は「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」に示された、瑕疵が存在する可能性の目安であり、個別の建物に瑕疵があるかどうかを判定するものではありません。標準仕様とオプションの範囲、アフターサービス基準は売主・物件ごとに異なります。契約条件や保証の内容は契約書・重要事項説明書で必ずご確認ください。構造や施工に不安がある場合は、建築士やホームインスペクター等の専門家に調査を依頼してください。
参考:住宅の品質確保の促進等に関する法律(新築住宅の定義・10年間の瑕疵担保責任)/国土交通省「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号)/特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)/宅地建物取引業法第39条・第41条・第41条の2(手付金の額の制限・手付金等の保全措置)/建築基準法(完了検査・検査済証、シックハウス対策の換気設備)/建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(2025年4月施行の省エネ基準適合義務)/国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)/不動産の表示に関する公正競争規約
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